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2016/02/04

「指定工事事業者制度」見直し、法改正へ

 厚生労働省は「指定給水装置工事事業者制度」の見直しとこれに伴う水道法改正に向けた検討に着手する。厚生科学審議会生活環境水道部会を17日に開き、現行制度の課題を整理した上で、具体的な検討の場となる専門委員会を設置し、今夏をめどに検討の成果をまとめる。年内に法案要綱を固め、次期通常国会に水道法改正法案を提出する見通しだ。
 指定給水装置工事事業者制度は、給水装置の構造と材質を同法施行令第5条に規定された基準に適合させるため、水道事業者がその給水区域で給水装置工事を適正に施行することができると認められる者を指定する同法第16条の2第1項に基づく制度。
 厚労省が2014年度に実施した調査によると、一部水道事業者が確認しているだけでも約3000の不明事業者が存在し、無届工事や構造材質基準の不適合などの給水装置工事の違反行為は、水道事業者が把握しているものだけでも1年間に1740件発生している。
 また水道事業者に寄せられた水道利用者からの苦情件数は1年間に4864件に上り、国民生活センターや消費生活センターなどに寄せられた水道工事や水道などの修理サービスなどに関する消費生活相談も1年間に約1000件に上っている。
 違反行為の中には水質事故につながりかねないクロスコネクションや虚偽報告などの悪質な事案も発生しており、水道利用者からの苦情では「連絡不通」「対応が遅い・悪い」「費用が高額」が多く、中には明らかに技術力不足が原因と思われる施工不良事案もあることが分かっている。
 こうした現状を重く見た厚労省は、15年度に日本水道協会(日水協)へ同事業者制度の現状と課題の把握を委託。日水協が設置した検討会は15年12月、現行制度には▽指定給水装置工事事業者としての技術力や実績を継続的に確認する方法がない▽主任技術者の技術力の確認が難しい▽配管技能者の配置の確認が難しい▽不明事業者の所在などを確認する水道事業者の人員・体制が乏しい―などの課題があることを指摘する一方、課題解決の方向性として、▽指定給水装置工事事業者制度への更新制の導入▽適切な配管技能者の適切な配置▽主任技術者、指定給水装置工事事業者講習会の実施・受講―などを挙げた対策案(概略)をまとめていた。

提供:建通新聞社