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2016/03/03

直轄の総合評価 技術提案の負担軽減を検討

 国土交通省は、直轄工事の総合評価方式のうち、技術提案の評価を重視する「技術提案評価型」の改善を検討する。技術提案評価型の大半を占める「技術提案評価型S型」で、落札者と非落札者との技術評価点に差が出ず、規模が大きいWTO工事では1位同点″となるケースが4割以上に上っている。このため、より高度な技術提案を求める「技術提案評価型A型」や企業・技術者の実績を重視する「施工能力評価型」を選択しやすくするなど、よりメリハリが効いた方向に制度を改善する。
 1日に開いた「総合評価方式の活用・改善等による品質確保に関する懇談会」で、技術提案評価型の課題と改善の方向性を議論した。池田豊人大臣官房審議官は冒頭で「技術提案には競争参加者1社当たり300万円が必要という話もある。参加者が20〜30社ある中で、この費用を『社会的コスト』としてどう捉えるべきか」といった問題意識を示した。
 技術提案評価型には、施工上の工夫などに関する技術提案を求める「技術提案評価型S型」と部分的な設計変更や高度な施工技術を提案する「技術提案評価型A型」がある。技術提案評価型の2014年度実績では、S型が587件と99・7%を占め、A型は0・3%の2件の適用にとどまる。
 S型の技術評価点は、09年度に落札者と非落札者に8・2ポイントの差があったが、14年度には3・6ポイントまでその差が縮小。技術評価点が1位になる参加者が複数になる「1位同点」になる工事は、規模が大きいWTO工事で44・3%に上るなど、結果的に価格で落札者が決まる状況に陥っている。
 国交省は、標準設計の変更を伴わない範囲で技術提案を求めるS型は、参加者の提案内容も制限されるため、技術的に差が出る余地が少なく、標準設計を超える技術提案で品質を高める可能性も失われていると分析。より高度な技術提案を求めるA型の手続き期間短縮や事務手続きの負担軽減などを図り、適用件数を拡大する方向性を示した。
 また、S型を適用する工事の中にも、施工能力評価型でより効率的に手続きを実施すべき工事があるとの認識も提示。現在は「内外無差別」の原則などを理由に施工能力評価型を適用していないWTO工事に、施工能力評価型を適用することも検討する。

提供:建通新聞社