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2016/04/27

一括下請負 「実質的関与」の基準見直し

 国土交通省は、26日に開いた中央建設業審議会の基本問題小委員会の中で、実質的に施工に関与しない企業を的確に排除するため、一括下請負(丸投げ)の判断基準を見直す方針を示した。2001年に発出した通知を今夏に改正し「実質的関与」の判断基準を元請け・下請け別、工種・下請け企業数に応じて明記する。小委員会ではまた、建設工事で使用する工場製品の製造者に届け出や登録を求めるなど、製造会社に建設業法に基づく指導監督を行うための新たな枠組みも示した。
 一括下請負は、公共工事と民間の共同住宅の新築工事で全面的に禁止されている。その判断基準としては、2001年に当時の建設省建設経済局長名が発出した通知で、元請けが下請けの施工に実施的に関与していることを求めている。
 実質的関与の判断基準としては、元請けが▽施工計画の作成▽工程管理▽品質管理▽技術的指導―などを行い、総合的に現場の企画・調整・指導に当たっていることを求めている。
 ただ、横浜市で発生した杭工事問題では、販売代理店の役割を担っていた企業が1次下請けとして施工体制に加わっていたことが明らかになった。この1次下請けは、工事の主な部分を2次下請けに担わせるなど施工に実質的に関与しておらず、建設業法に基づく指示処分や営業停止を受けた。
 国交省は、現行の判断基準について、元請けと下請けの区別がないことに加え、「実質的関与」の解釈の幅が広いことなどが問題だと考えている。このため、今夏の通知改正では、一括下請負の判断基準について、元請け・下請けそれぞれが施工上果たすべき役割を再整理し、商社や代理店、労務調達を行う企業を施工体制から排除できるようにする。商社や代理店には売買契約を結ぶことで現場に参画してもらう。
 一方、京都府内の橋梁耐震補強工事で発覚した落橋防止装置の溶接不良を踏まえ、工場製品の製造会社に対する建設業法上の関与を強める方針も示された。工場製品は専門性が高く、元請けに一定の関与を求めることが困難だとして、製品に不具合が生じた際、製造会社を指導監督できる枠組みを構築する。
 具体的には、建設業法に製造会社の登録や届け出の制度を位置付けるとともに、製品の品質を確保する検査などの手続きも定める。製品に不具合が生じた場合、行政に製造会社を指導監督できる権限も与える。こうした新しい枠組みを導入するためには、建設業法を改正する必要がある。
 基本問題小委員会は、5月23日の次回会合で中間報告の骨子、6月中旬の会合で中間報告をまとめる予定だ。

提供:建通新聞社