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2016/06/10

技術者専任の要件緩和へ 金額以外の要素追加

 国土交通省は、9日に開いた中央建設業審議会の基本問題小委員会で、技術者の専任要件に請負金額以外の要素を追加する考えを示した。材料費が大半を占めている現場作業の少ない工事、難易度の低い工事などで、専任要件の緩和を検討する。また、若年層が早期に技術者資格を取得できるよう、2級学科試験の年2回開催、学科試験合格者に対する「士補」の資格付与、1級学科試験の受験資格緩和など、技術検定試験の見直しを検討することも明らかにした。
 主任技術者と監理技術者には、公共性のある施設や不特定多数が利用する施設のうち、請負代金3,500万円(建築一式7,000万円)以上の工事に専任する義務がある。
 一方、建設現場では、工事の難易度に応じて専任の必要性を認識している傾向があり、建設業団体は、難易度の低い工事、材料費が大半を占めて現場作業の少ない工事などの専任要件を緩和するよう求めている。
 国交省は、現在は請負金額のみを要件としている専任要件に、請負金額以外の要素を追加することを提案。具体的には▽材料費を除いた施工に関する費用▽月当たり工事高▽発注者の難易度評価―などの新たな基準を例示した。ただ、材料費と施工費の区分けが難しかったり、不正行為の余地があるといった課題があるため、客観的で明確な新たな基準を引き続き検討するとしている。
 専任配置されている技術者が、工事の一時中止期間中などに他の工事への専任を認めることも検討する。河川工事で出水期に一時中止になるケースや、鉄筋・型枠工事などが断続的に発生するケースなど、現場で施工に当たらない期間に限り、専任の技術者が他工事に専任できるようにする。
 技術検定試験の見直しは、若年層の資格取得を促し、他業種への就職の流れを抑制する目的で実施する。技術検定を年2回開催すると、会場費用や人件費の増加に伴い受験料を引き上げる必要がある。このため、若年層の受験者が多く、年2回の開催で高校在学中の合格者の増加が期待できる2級学科試験に限定して検討する。
 若年層が資格を取得する意識を高めるため、1級・2級学科試験の合格者に「士補」の資格を与えることも検討。技術士補や測量士補なども参考に、士補の資格取得者に対するインセンティブなどを検討する。また、2016年度から高校2年生に受験資格を与えた2級学科試験と同様、1級学科試験の受験資格を緩和する。受験資格として求められる実務経験の期間を短縮し、早期の資格取得を促す。

提供:建通新聞社