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2016/07/20

東京五輪競技コース 遮熱性舗装を積極採用

 国土交通省は「アスリート・観客にやさしい道の検討会」で、2020年東京五輪で使用する公道に遮熱性舗装を積極的に採用するとの考えを示した。遮熱性舗装は、昨夏に行った実証試験で、路面温度の上昇抑制効果が最高9.8度に達するなど、保水性舗装よりも高い環境性能が確認された。保水性舗装は、散水時に遮熱性舗装より高い効果が発揮されたことから、継続的に散水を実施できる地区で採用するとしている。
 検討会は、東京都、日本陸上競技連盟、日本パラ陸上競技連盟などの関係者を集め、20年東京五輪で公道を使用するマラソンや自転車競技の暑熱対策を検討している。競技コースに、路面温度の上昇抑制効果が期待される環境舗装を導入する際、アスリート側の意見も取り入れる。
 国交省は会合で、昨年7〜8月に国道246号で行った実証試験の結果を報告。これによると、遮熱性舗装は、晴天時に散水のない状態でも一般的な密粒舗装と比べて9.8度の路面温度上昇抑制効果があることを確認。同じ条件で保水性舗装の抑制効果は4.3度だった。
 一方、散水した場合の抑制効果は、遮熱性舗装の7.6度に対し、保水性舗装は9.3度と、保水性舗装の効果がより大きかった。ただ、散水した翌日の保水性舗装の抑制効果は5.9度まで低下しており、継続的な散水が求められることも分かっている。
 これらの試験結果を踏まえ、国交省は、散水を行わなくても効果が高い遮熱性舗装を積極的に採用する方向性を報告。保水性舗装は、継続的に散水を実施できる路線に限定して採用する方針を示した。今後、舗装の更新のタイミング、現地状況を踏まえ、計画的に競技コースを整備する。8月下旬に実証試験を再度行い、9月に開く次回会合で方針を最終決定する。
 国交省はまた、環境舗装の採用に加え、既存の街路樹の樹冠再生を通じた緑陰を形成することで、観客の暑熱対策も行う。十分な樹冠を確保できるよう、剪定の方法・頻度を工夫する。


提供:建通新聞社