国土交通省は7日、「東日本復興CM方式の検証と今後の活用に向けた研究会」の初会合を開いた。被災した岩手県宮古市と宮城県東松島市、UR都市機構が東日本大震災の復興市街地整備事業に導入した復興CM方式について、発注者のマンパワー不足の解消や早期復興に効果を発揮したと説明した。同研究会では、復興CM方式の検証結果を踏まえ、大規模災害の発生に備えたCM方式活用の枠組みや、平常時の公共事業への活用の可能性などを2017年2月まで検討する。
初会合の冒頭、土地・建設産業局の平田研建設業課長が「復興事業ではCM方式が広く採用され、ノウハウも蓄積されている」と述べた上で「この蓄積を今後の発注に適切に活用する方策を検討してほしい」と研究会を立ち上げた経緯を説明した。
東日本大震災の復興市街地整備事業で、被災した12市町は技術職員不足や大規模事業のノウハウ不足を解消するため、アットリスク型のCM方式を採用。19地区でURが全体調整を担い、URと請負契約を結んだCMR(コンストラクション・マネジャー)が専門工事・設計・測量・調査の各企業を選定した。
東松島市の野蒜北部丘陵地区(92f)では、JR仙石線の移設・復旧と一体的に高台市街地を整備。CM方式の民間提案で、約300万立方bの残土をベルトコンベヤーで搬出し、工期を想定の半分程度に短縮することができたという。
初会合では、復興CM方式を導入した19地区におけるCMRの選定手続きなどを検証した。復興CM方式では、CMRとの契約に「コストプラスフィー契約」を採用。設計・工事費を実費精算し、CMRには、あらかじめ合意した報酬(フィー)を加算して支払った。URではCMRの選定段階で報酬の目安を原価の10%と提示し、優先交渉権者との価格交渉の結果、各地区で10〜11%で契約を結んだと説明した。
研究会は、10月に開く2回目の会合で、復興CM方式の実施体制、URとCMRとの役割分担などを検証する予定だ。
提供/建通新聞社