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2016/09/16

現行の体制維持は困難 全建が除雪アンケート

 全国建設業協会(全建、近藤晴貞会長)が行ったアンケート調査で、豪雪地帯の会員企業の多くが、現行の除雪体制の維持を困難と考えていることが分かった。維持が可能な期間を尋ねたところ、「3年後まで」と「5年後まで」で約6割を占めている。採算性の低さなどがその理由。道府県と市町村の発注業務では「利益なし」が4割近くに達した。市町村に至っては2割弱が「赤字」だった。
 全建が除雪業務に関するアンケート調査を行ったのは今回が初めて。体制の維持や、降雪量の極端な変化への対応が困難であることなど、会員企業の窮状をデータとして示すため、建設機械・人員、採算性などの地域ごとの状況を調査した。
 除雪業務全般の採算性を発注機関別に見ると、「利益なし」と「赤字」が占める割合は、道府県で47%、市町村で59%に達した。「利益なし」の割合が高い道府県は富山(80%)、福井(73%)、北海道(64%)など。国土交通省発注業務については、全体の約5割が「黒字」で、約4割が「利益なし」または「赤字」だった。
 「利益なし」「赤字」の要因としては、7割が出動回数と稼働時間の不足を挙げた。機械の維持管理費不足との回答は5割強。人件費負担と単価・経費不足もそれぞれ2割強が回答している。
 降雪量・稼働時間を問わずに求められる除雪機械や人員確保に要する費用は、各企業に大きな負担となっている。除雪機械は、自社保有と発注機関からの貸与がいずれも5割弱(台数ベース)を占めているのが現状。しかし、整備費用など自社保有に関わる各種経費が大きいことから、全てを発注者貸与とすることを望む意見が圧倒的に多かった。
 人員の確保も、若者の建設業離れや、従事者の高齢化などによって深刻な問題となっている。現状では、全体の3割弱がオペレーターと除雪補助者のそれぞれについて「不足」と回答している。青森、富山、福井などで不足感が強い。
 こうした状況を受け、多くの回答者が除雪体制を今後維持できる期間は長くないと感じている。維持可能な期間は、「1年後まで」などで1割を占め、「3年後まで」と「5年後まで」を含めると7割弱になる。地域別では、岩手、秋田、群馬、長野、福井などで先行きの不透明感が強いことが分かった。
 アンケート調査は5月18日から7月1日まで行った。「豪雪地帯対策特別措置法」で豪雪地帯・特別豪雪地帯として指定されている24道府県建設業協会とその会員企業を対象とした。回答を寄せたのは22協会・434社。
提供/建通新聞社