厚生労働省は、転職者実態調査(2015年10月1日現在)の結果をまとめた。建設業の場合、転職者のいる事業所が占める割合は全体の35.4%。採用に当たっては、既存事業の拡大・強化や組織の活性化が重視されたという。また、「必要職種への応募者が少ない」などの課題を多くの企業が抱えていることも明らかになった。
転職者がいる事業所の割合は、全産業平均(35.7%)とほぼ同様の水準。採用に当たって重視した事項は、「既存事業の拡大・強化」55.7%、「組織の活性化」31%、「人員構成のゆがみの是正」26.3%が上位を占める。
採用する際の課題として、必要職種への応募者の少なさを挙げたのは建設業の61.5%。これに「採用時の賃金水準や処遇の決め方」「能力評価に関する客観的な基準がない」などが続いている。
転職者に対する教育訓練の実施状況を聞くと、建設業の53%が「実施した」と回答。全産業平均の74.4%に比べて低い水準にある。訓練内容については建設業の73.7%がOJT、51.1%がOFF―JTを行っていると答えた。
今後3年間に採用する転職者の職種は、建設・採掘(56.5%)、専門的・技術的な仕事(48.5%)などが建設業で多かった。
今回の調査は法人の他、転職者個人も対象に行っている。全産業平均のデータで、満足度DI(「満足」−「不満足」)は43ポイントとなり、現在の勤務先に満足な転職者が多いことが分かった。勤務先を選んだ理由は、「仕事の内容・職種に満足」「技能・能力が生かせる」「労働条件(賃金以外)がよい」が上位を占めた。
調査は、転職者の就業実態把握と、労働者需給のミスマッチ解消を目的に行った。建設業など16産業を対象に、15年10月1日時点の状況を調べた。有効回答率は法人が61.8%、個人が54.4%。
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建通新聞社