国土交通省は9月28日に開いた「コンクリート生産性向上検討協議会」で、設計段階で流動性の高いコンクリートを活用しやすくするため「スランプ規定」を見直す考えを示した。コンクリートのスランプ値にはJIS規格値を採用しているため、流動性の高いコンクリートが設計段階から採用されることは少ない。現在の仕様規定を性能規定へと見直すことなどにより、流動性の高いコンクリートを現場に導入しやすくし、打設時の生産性向上、設計変更・個別協議の労力の低減を狙う。
凝固前の生コンの流動性を示すスランプ値には、発注仕様などでJIS規格値が使われており、施工者が複雑な構造物などに流動性の高いコンクリートを採用したければ、標準スランプでは十分な施工ができないことを発注者に示す必要がある。
国交省は、このことが施工の自由度を高めることを阻害しているとして、規定の見直しを検討している。28日の協議会では、スランプ規定の見直し案を2案提示。具体的には、スランプ・スランプフロー値を参考値に変更する「案1」と、設計者が構造・配筋を考慮した適切なスランプ値を設定する「案2」を検討している。
いずれも、品質は空気量と水セメント比で確認。採用時のコストについても今後検討する。
見直しの影響を踏まえ、早ければ2016年度末にも見直した規定を土木工事共通仕様書、土木工事施工管理基準に反映させる。
28日の協議会ではこの他、建設生産プロセス全体でコンクリート工の最適化を図ることも提案された。計画段階において、工事単位ではなく、プロジェクト単位で生産性を向上させるコンクリート工の導入を検討できるようにする。
また、調達・製作・運搬・組立など、サプライチェーンの効率化でコンクリート工の生産性を向上させることも提案。製品の発注から納品までの待ち時間を解消するため、▽工事情報を関係者が早期に共有できる仕組み▽発注見通し・入札公告情報の発信強化▽電子化・クラウド化による施工関連情報の共有―などを検討する考えを示した。
国交省は、コンクリート工の生産性向上を目的に「全体最適の導入(コンクリート工の規格の標準化など)」をi−Constructionのトップランナー施策に位置付け、同協議会を2016年3月に設置。「コンクリート工の規格の標準化」に向けた協議を行っていた。
提供:建通新聞社