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2016/10/31

建設投資の中長期予測 民間非住宅が下支え

 建設経済研究所は、2030年度までの建設投資の中長期予測を明らかにした。30年度の建設投資は、日本経済の成長率が伸びたと仮定する「経済再生ケース」で、最大56兆4000億円(名目値)になると推計。16年度の投資見通しである51兆5000億円を上回る予測を示した。人口減少で民間住宅投資は大きく落ち込むものの、民間非住宅投資が16年度の1・5倍に増加。経済成長率が現在のまま推移する「ベースラインケース」では、建設投資は最大でも48兆2000億円に縮小するが、民間非住宅投資は増加する見通しを示しており、民間非住宅が投資水準を下支えすることが期待されるという。
 予測は、経済成長率が実質2%以上、名目3%以上となる「経済再生ケース」と、足元の潜在成長(実質1%弱、名目1%半ば)が持続する「ベースラインケース」の2パターンで行った。建築単価は、経済成長による企業物価の上昇に伴い、将来にわたり堅調に上昇すると予測した。
 経済再生ケースの建設投資は、20年度に50兆7000億円〜52兆5000億円、25年度に51兆2000億円〜54兆4000億円、30年度に51兆1000億円〜56兆4000億円と年々増加。ベースラインケースでは、20年度に49兆円〜50兆4000億円、25年度に47兆1000億円〜49兆2000億円、30年度に44兆9000億円〜48兆2000億円と、除々に減少するみている。
 政府建設投資は、東日本大震災の復興事業の収束や近年の公共投資の実績を踏まえて予測し、いずれのケースでもおおむね横ばいに推移すると推計した。民間住宅投資は、世帯数の減少、空き家の増加、除却戸数の減少などを理由に、急激に減少する。16年度の民間住宅投資15兆1000億円は、30年度に経済再生ケースで9兆2000億円〜10兆1000億円、ベースラインケースで8兆6000億円〜9兆4000億円に落ち込む。
 民間非住宅建設投資は、インターネットを経由した購買が普及するために店舗に落ち込みが見られるものの、首都圏を中心に事務所の供給が安定的に推移する。老朽化した既存ストックが多い倉庫の伸びも予測される。
 一方、維持・修繕額は、各部門で緩やかな上昇傾向が継続すると推計。16年度の14兆2000億円が、30年度には経済再生ケースで17兆2000億円〜18兆6000億円、ベースラインケースで15兆9000億円〜16兆7000億円になると見込んでいる。

提供:建通新聞社