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2017/01/05

石井国交相インタビュー「生産性革命前進≠フ年に」

 国土交通省は、2016年を生産性革命元年と位置付け、人口減少下の経済成長を生産性の向上で実現する姿勢を打ち出した。新年の幕開けに合わせ石井啓一国交相が建設専門紙の共同インタビューに応じ、「今後の展開の基礎づくりができた」と昨年1年を振り返るとともに、今年を「生産性向上の考え方を施策全般に組み込み、生産性革命を前進させる年としたい」と意気込みを示した。
 ―生産性革命元年と位置付けた昨年1年の動きを振り返ると。
 「生産性革命の大きな狙いは人口減少下でも、生産性を向上させれば経済成長を実現できるということ。安倍内閣が掲げるGDP600兆円という目標に貢献するとともに、長時間勤務の短縮、休暇の拡大など、結果的に職場の魅力向上にもつながるはずだ」
 「昨年は国交省生産性革命本部を立ち上げ、生産性革命プロジェクトとして先進事例20件を選定した。今年はこれらのプロジェクトをさらに具体化させ、『生産性革命前進』の1年としたい」
 ―昨年末に閣議決定した17年度当初予算案で、国交省所管の公共事業費は5年連続で前年度額を上回った。
 「社会資本は、生産性向上や民間投資の喚起を呼び込むストック効果を通じ、経済成長に貢献することができる。災害から国民の生命・財産を守るという最重要の使命も帯びている。これからの社会資本整備では、ストック効果を最大化する戦略を確立し、複数事業を一体的に進めたり、施設の利用効率を高めた『賢く使う』取り組みを徹底したりすることが必要だ」
 「ストック効果を重視した社会資本整備を計画的に進めるためには、安定的、持続的な公共投資の確保が何よりも求められる。17年度の国交省関係予算案でも、公共事業費は前年度額を20億円上回る5兆1807億円を確保できた。今後も、ストック効果を最大限に発揮できる事業に予算を重点的、計画的に配分していきたい」
 ―建設業の担い手確保・育成にはどう道筋を付けのるか。
 「昨年も、さまざまな災害の応急対応や復旧に建設業は重要な役割を果たした。建設業がこうした役割を将来的にも果たすためには、中長期的に担い手の確保・育成を進めなくてはならない。今年も建設業界と連携し、適正な賃金水準の確保、休日の確保、教育訓練の充実に取り組みたい」
 「特に今年は、5年前から業界とともに進めている社会保険未加入対策の集大成の年。業界全体に社会保険加入が定着するように全力で臨みたい。また、中小の専門工事業が協力して教育訓練を行う職人育成塾、建て替え工事が完了する富士教育訓練センターを引き続き支援する。さらに、技能労働者が適正な評価と処遇が受けられるよう、秋には『建設キャリアアップシステム』を稼働させる」
 ―建設現場の生産性向上にはどう取り組むか
 「i−Constructionのうち、直轄の大規模な土工を対象に、建設生産の全てのプロセスでICTを活用するICT土工を導入した。早ければ1月中に産学官による推進コンソーシアムを立ち上げたい」
 「施工時期の平準化では、17年度当初予算案に、当初予算では初めてとなるゼロ国債約1400億円を盛り込んだ。当初予算にゼロ国債を確保することで、準備期間を十分に取り、より計画的に施工時期を平準化することが可能になる」
 ―これらの施策に加え、建設業法改正を視野に入れた関連制度の抜本的な見直しも議論されている。
 「建設産業が10年後も生産性を高めながら現場力を維持できるよう、昨年10月、建設産業政策会議における議論をスタートさせた。将来の担い手確保・育成や生産性向上などの課題に真正面から向き合い、建設業関連制度の基本的枠組みを検討する」
 ―昨年の臨時国会で、議員立法の『無電柱化推進法」が成立した。新法制定を受け、無電柱化をどう進めるのか。
 「無電柱化には、道路の防災性の向上、安全性・快適性の確保、良好な景観の形成という三つの意義がある。ロンドンやパリの無電柱化率が100%であるのに対し、わが国では東京23区でも7%と、無電柱化が著しく遅れている」
 「議員立法の成立を受け、無電柱化への期待や動きが強まっている。まず、有識者らの意見を幅広く聞き、推進法で国に求められた無電柱化推進計画を策定する。20年東京五輪を控え、訪日外国人旅行者に対する魅力のアップや、首都直下地震への備えの充実のためにも、これまで以上に無電柱化を進めていきたい」

提供:建通新聞社