「今後の土壌汚染対策の在り方」について検討している環境省は、中央環境審議会からの第一次答申を基にまとめる土壌汚染対策法改正案を今月20日に召集される第193回通常国会へ提出する。改正案には、部会の土壌制度小委員会で検討してきた「一時的免除中や施設操業中の事業場における土地の形質変更や排出規制」や「臨海部の工業専用地域の特例」「自然由来・埋め立て材由来基準不適合土壌の取り扱い」などについての見直しの内容を規定する。同省は改正法案が国会を通過するのを待って、土壌制度小委員会を再開し、省令などの改正に向けてさらに具体的な検討を進める。
都道府県条例などによる「一時的免除中や、操業中の特定有害物質取り扱い事業場における規制に関する調査」の結果、3〜5割の割合で土壌汚染が確認され、約9万5000dもの汚染土壌が搬出されるなど、一時的免除中や操業中の事業場には汚染土壌が存在する可能性が高いことが、小委員会の検討過程で明らかになっている。
このため、改正案は3000平方b未満の土地の形質変更の場合であっても、あらかじめ都道府県に届け出を行った上で、土壌汚染状況調査を行うように求める。
また、調査の結果、土壌汚染が確認された範囲については都道府県などが区域指定を行い、適正な搬出・処理を義務付ける。
こうした見直しの実施に向け、同省は、調査の対象となる「工場・事業場の敷地」の定義を明確にするとともに、形質変更の届け出を義務付ける対象となる規模要件などを事業者や都道府県からの意見を十分踏まえて設定する。
「臨海部の工業専用地域」にあって、人への健康被害のおそれが「少ない」、または「ない」土地については、土地所有者の申請によって「新区域」への指定を可能にする“特例”も設ける。この新区域については、あらかじめ土地の所有者などに対し、自主管理の方法を都道府県と合意した上で管理することを求める代わりに、土壌汚染の状況を適切に管理するため最低限必要となる情報を年1回程度、事後的に届け出るよう求める。
「自然由来・埋め立て材由来基準不適合土壌の取り扱い」については、適正な管理下で資源としての有効利用を推進していく。
具体的には、自然由来特定区域間(地質的に同質である範囲内)と、埋め立て地特例区域間(同一港湾内)の土壌の搬出などを、届け出を求めた上で認める。
同一事業や現場内の盛土構造物(埋め立て処理施設)による処理を業として行う場合、その許可については、自然由来・埋め立て材由来の基準不適合土壌に適応した施設の構造要件などを設ける。さらに、区域外の一定の条件を満たした工事であれば活用を認め、水面埋め立てでの利用についても確認の上で、その活用を認める。
提供:建通新聞社