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2017/03/10

薬液注入 第三者の品質確認を原則化

国土交通省は、埋め立て地で行われる薬液注入工法による地盤改良工事で、受注者による試験施工や第三者の品質確認を求める対応方針案をまとめ、3月9日に開かれた有識者会議に示した。試験施工は、過去に同種工法の施工実績がなかったり、新技術を適用する際、施工性や出来形を確認するために実施。施工後の品質確認は、発注者と別契約を結ぶ第三者が原則として行い、受注者による不正を防止する。
 有識者会議は、空港施設で昨年発覚した地盤改良工事の施工不良を受け、今年1月に発足。国交省は、再発防止策の一環である対応方針案を9日の会合に示し、施工前、施工中、施工後の各段階における受発注者における対策を整理した。
 対応方針案の対象は、基礎地盤などの地盤改良効果が長期にわたり期待される薬液注入工事で、仮設を前提とする薬液注入は含まない。薬液注入材の対象は溶液型注入材料。施工前は、設計前の地盤調査のみでは薬液注入に必要な情報が不足しているとして、より詳細の地盤条件の確認を求める。特に地盤の不均一性が大きい場合は、サウンディングで深度方向の不均一性を把握する。
 施工中の対策では、調査項目を▽土懸濁液のPH試験▽シリカ含有量試験▽限界注入速度試験―に標準化。さらに▽過去に同種工法の施工実績がない▽新技術を適用する▽既設構造物への影響がある―といったケースで、試験施工を行うことも求める。
 施工者が実施し、発注者に報告することが一般的な施工後の品質確認は、第三者が実施することが原則となる。ボーリング・サウンディングの位置は監督職員が指示するなど、監督・検査を強化する。
 国交省は、当面の間、これらの対策を実施するとともに、非破壊で地盤内を可視化し、改良後の地盤を確認する技術の研究開発を進める。薬液注入された地盤の定量的な評価手法も引き続き研究する。

提供:建通新聞社