トップページお知らせ >中央ニュース

お知らせ

中央ニュース

2017/03/31

社保未加入対策を強化 契約書に法定福利費

 国土交通省は、2017年度に建設業の社会保険未加入対策をさらに強化する。未加入対策の目標年次を迎える17年度早々に「建設業社会保険推進連絡協議会(仮称)」を立ち上げ、17年度に実施する新たな対策を報告。これまで見積書に明示するよう求めていた法定福利費を契約書に記載するよう、標準的な契約書を見直すことを検討する。都道府県単位で対策を根付かせるため、建設企業などを集めた協議の場も立ち上げる。健康保険や厚生年金保険への加入を避けるため、意図的に小規模化を図る個人事業主への対策も検討する。
 国交省が12年度から進めている社会保険未加入対策は、17年度をめどに加入率を企業単位で建設業許可業者100%、労働者単位で製造業相当(約90%)とすることを目標に進めてきた。この5年で加入率は大幅に上昇したが、目標達成に向けて対策を強化する。
 法定福利費の確保を巡っては、見積もり段階で法定福利費を明示する標準見積書の活用を呼び掛けてきたが、見積書だけでなく、契約書に法定福利費を記載することを検討する。公共工事・民間工事における標準的な契約書の見直しを視野に、契約書に法定福利費を明記することで、下位の下請けに対する法定福利費の支払いを確実にする狙いがある。
 地方自治体の発注工事でも、確実な法定福利費の計上を働き掛ける。現在、直轄工事の積算では、公共工事設計労務単価に本人負担分、現場管理費に事業者負担分を計上している。このうち、事業者負担分の計上について、自治体の実態を調査する。
 都道府県単位で建設企業が集まる組織体を設け、小規模企業も含めて対策を浸透させる。この中で、社会保険加入の取り組みを各企業で共有する他、加入促進に向けた行動基準≠定めることも検討する。国交省に寄せられる加入指導などの相談が増加しているため、相談体制の充実も図る。
 従業員4人以下の個人事業主は、事業主負担がある健康保険と厚生年金保険に加入する義務がない。加入を避けるため、分社化などで従業員数を意図的に減らす動きが一部で見られるとして、対策を講じることを検討する。

提供:建通新聞社