国土交通省は7月6日に開いた「無電柱化推進あり方検討委員会」に、占用制限の適用拡大や低コスト手法の普及を柱とする中間報告の骨子を提示した。骨子では、道路の占用制限を活用し、直轄国道などで行っている電柱の新設禁止を地方自治体に展開することに加え、占用制限を既設電柱にも適用し、撤去を進めることを要請。道路事業や面整備における新設抑制の実効性を担保するため、道路法令の在り方を検討すべきとも記載した。
国交省や一部の自治体では、道路法37条に基づく占用制限により、緊急輸送道路に指定されている直轄国道で新設電柱・電線の新設を禁止している。中間報告の骨子では、この占用制限を未実施の自治体に展開することに加え、交通が著しく集中する道路、幅員が著しく狭い道路など、緊急輸送道路以外にも拡大するよう求めた。
さらに、緊急輸送道路での新設電柱の抑制だけでは対策が不十分だとして、既設電柱にも占用制限を適用する必要性を指摘。「防災」と「安全・円滑な交通確保」の観点で、国・都道府県・市町村が占用制限を適用する対象区域を検討する。
電線管理者が支払う占用料の引き上げも中長期的に検討すべき課題に挙げた。新設・メンテナンス時の道路の通行止め、災害時の倒壊による通行障害でもたらされる外部不経済を加味し、占用料を設定するよう求めた。
骨子ではまた、無電柱化の90%を占める電線共同溝方式のコスト高を問題視し、低コスト化が可能な▽浅層埋設▽小型ボックス活用埋設▽直接埋設▽軒下配線▽裏配線―などの多様な整備手法を採用するよう提言。国・自治体が無電柱化の費用を無利子で貸し付ける「電線敷設工事資金貸付金」を活用し、財政基盤の弱い中小通信事業者を支援することも求めた。
提供:建通新聞社