トップページお知らせ >中央ニュース

お知らせ

中央ニュース

2017/10/16

第12回建設トップランナーフォーラムK

第12回建設トップランナーフォーラム
『地域建設業は想定外の災害にどう備えるか』

第12回 パネルディスカッション(下)

 林野庁次長の沖修司氏は、これまでの災害対応について、「被害箇所に絆創膏を貼るような対症療法が主だった」との認識を示し、今後事前防災を行っていくには基本的なデータ整備がより重要と発言。「特に人口減・高齢化が進む中山間地ではデータがないと対応できない」と説き、その上で「行政と業界とが役割分担をあらかじめ決めておくことが必要だ」と述べた。

 土木学会会長の大石久和氏は「気象の狂暴化が起こっていることは確実」と言い、「既往最大を超える豪雨があり得る時代にきている」半面「それを受ける人間側の耐力が高齢化や人材不足によって落ちてきている」という二つの課題を提示。とくに役割が大きい地元自治体の技術職員の減少を問題視し「災害時に市町村が力を発揮できない状況を考えておく必要がある」と指摘した。

 同時に「地域防災力がぎりぎりで維持されている現状を社会から認知されていないことが最大の問題」と指摘。「建設業が減っても何とかなるという認識は間違っている。建設業が必要不可欠だということを社会的コンセンサスにしないといけない」と強調、「個々の地域に建設の力がどれだけ必要かを計算して『見える化』する必要がある。そのための手法をもっと開発しなければならない」と話した。

 また、大石氏は市町村の防災力の支援に関して「災害時だけ情報を集めても応援にはならない」と指摘。平時の維持管理で危険箇所を把握・共有する取り組みがもっと必要だとし、「そのためには維持管理の単年度の契約では限界がある。中長期的な契約ができるよう法律自体が変わっていかなければならない」と述べた。

 コーディネーターを務めた建設トップランナー倶楽部代表幹事の米田雅子氏は、「各パネラーの発言から、地域建設業が置かれているポジションが見えてきた。今後は実践を積み重ねながら、社会の認識や法制度・仕組みを変えていくよう働き掛けていくことが重要だ」とまとめた。(地方建設専門紙の会)

提供:地方建設専門紙の会