建設経済研究所は『建設経済レポート』の中で、2030年に建設業に従事する技術者数が32万1000人となり、15年の国勢調査時点と比べ5万2000人(19・3%)増加すると推計している。
15年以降、5年ごとで見ても20年に8・3%増、25年に6%増、30年に4%増となり、伸び率は鈍化するものの、増加基調が継続するとみている。ただ、年齢階層別では、減少傾向にある若年層に対し、高齢層の割合が大幅に増加するとも推計している。
5年に1度行われる国勢調査によると、建設業に従事する技術者数は2000年に62万人とピークに達したものの、バブル崩壊後の廃業や倒産で離職者が大量に発生し、05年には30万人と半減した。10年も24万4000人と引き続き減少したものの、その後5年間の建設投資の回復を背景に直近の15年には10・2%増の26万9000人と増加に転じている。
建設経済研究所では、10年から15年の技術者数の増加率が20年以降も継続すると仮定し、30年までの技術者数を推計。現在は建設業に従事していない者も含まれる若年層(15〜24歳)については、15年時点の全技術者に占める若年層の割合を30年までの若年人口の推移に乗じて算出した。
推計結果を見ると、15年の国勢調査で26万9000人だった技術者数は、20年に29万1000人(8・3%増)、25年に30万9000人(6%増)、30年に32万1000人(4%増)と推移。30年には05年の技術者数(30万人)を超えるとしている。
ただ、年齢別の構成比では、高年齢層(55歳以上)が15年の31・3%から30年に41%まで増加。反対に中間層(25〜54歳)は65%から56・2%に低下し、高齢化が加速することも明らかになっている。さらに、人口減少の影響を受け、若年層(15〜24歳)は3・6%から2・8%に減少する。
建設経済研究所は今回の推計について「技術者数が増加に転じた10〜15年の推移が継続することが前提」としており、来春にまとめる建設経済レポートで、地方ブロック別の推移などの詳細も分析するとしている。少子化による若年層の減少については、働き方改革や処遇改善などに継続的に取り組む必要性も指摘している。
提供:建通新聞社