建設経済研究所は、地方自治体を対象に6〜7月に行った「多様な入札契約方式」に関するアンケート調査の結果をまとめた。調査結果によると、2014年10〜11月に行った前回調査と比べ「地域維持型契約方式を導入しない」と答える自治体が増えており、導入しない理由として「ロットが拡大することで、受注者の受注機会が減少する」と答える自治体が多かった。
調査には、都道府県・政令市・中核市の合計118団体が回答した。
品確法で定める多様な入札契約方式のうち、地域維持型契約方式は、中長期的に担い手を確保するため、発注者に▽複数年度契約方式▽複数工種一括契約方式▽共同企業体による共同受注方式―を適切に選択するよう求めている。
調査結果を見ると、複数年度契約方式を「導入済み」と回答した自治体は14団体と前回調査と変わっていないが、「導入しない」と回答した自治体は59団体から83団体に増加した。同一地域内の維持管理で複数業務・工事を一つの契約で発注する複数工種一括発注方式(包括発注方式)は「導入済み」が17団体から24団体に増えたものの、「導入しない」自治体も55団体から78団体に増加した。
共同企業体による共同受注では、災害応急対応・除雪・修繕・パトロールなどを複数の中小建設企業で結成する共同企業体が受注する。「導入済み」は15団体から23団体、「導入しない」は61団体から80団体に増えており、導入しないと判断した自治体が多数を占めた。
「導入しない」と回答した自治体にその理由を聞くと、いずれも「ロットが拡大することで受注者の受注機会が減少する」との回答が最も多かった。共同受注方式では「受注先が硬直化することで適正な競争環境が確保できない」と答える自治体も多かった。
建設経済研究所は今回の調査結果について、地元に精通した地域建設企業の安定受注による社会資本の維持は「担い手3法改正の趣旨に含まれていたはず」と指摘。自治体に法改正の趣旨への認識が広まり、「これらの方式の導入が進むことを期待したい」としている。
提供:建通新聞社