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2017/12/27

許可業者8割賃上げ 要因に実勢価格上昇

 国土交通省が建設業許可業者を対象に行った「下請取引実態調査」で、許可業者の80%が技能労働者の賃金水準を引き上げた(予定含む)と回答していたことが分かった。前年度と比べ10・2ポイント上昇した。引き上げの理由には、実勢価格が上昇し、賃金を引き上げなければ労働者を確保できないと回答する業者が多かった。法定福利費を内訳明示した見積書(標準見積書)を活用している下請けは64・1%(一部での活用含む)で、前年度から17・5ポイント伸びている。
 調査は、建設業法に基づき、下請け取引の適正化を図るために毎年実施しているもの。2017年度の調査は、無作為抽出した許可業者1万4059者のうち1万1068者の回答を集計した。
 技能労働者の賃金水準を引き上げたと回答した許可業者は80%に上り、13年度からの5年間で29・7ポイント上昇した。引き上げの理由については「実勢価格が上がっており、引き上げなければ必要な労働者が確保できない」との回答が43・4%と最多で、「若者の入職促進など、業界全体の発展に必要と考えた」の38%が次いで多かった。
 標準見積書を「全ての工事で提出している」と「一部の工事で提出している」と回答した下請けは合計64・1%となり、前年度から17・5ポイント増加。下請けに標準見積書の提示を働き掛けた元請けは21・9ポイント増の60・7%で、回答を求めた14年度以降で最も高い伸び率となった。
 ただ、標準見積書を提出した結果、見積金額全額が支払われた下請けは47・2%だった。
 支払いの手段に関する設問では、全額を現金で支払う業者が72・6%、労務費相当分を現金で支払う業者が16・8%だった。手形期間が120日以内と回答した業者は92・3%で、このうち手形期間が60日以内の業者は3・5%だった。
 有効回答のうち、建設工事を下請けに発注者したことのある者からの回答は8976。建設業法に基づく指導を行う必要がない者の回答は596だった。国交省は今回の調査結果を許可行政庁の立ち入り検査時に活用する。

提供:建通新聞社