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2018/02/06

自治体の技術者不足など課題

 新事業や新技術開発などに取り組む地域建設業56社の経営者や学識者などで構成する建設トップランナー倶楽部幹事会(代表幹事・米田雅子慶應義塾大学特任教授)は2月2日、インフラメンテナンスをテーマに東京都内で研修会を開いた=写真。国土交通省と農林水産省の幹部が道路や農業生産基盤の老朽化対策の現状などを説明。会員からは、コンサルタントと施工者が連携できる体制づくりを求める意見や、地方自治体の技術力不足を深刻な問題とする指摘があった。
 まず国交省総合政策局の鈴木学事業総括調整官が「インフラメンテナンス革命の目指すもの」、農水省農村振興局の川村文洋設計課計画調整室長が「農業生産基盤に係る長寿命化・国土強靱(きょうじん)化の取り組み」についてそれぞれ話した。
 国交省の鈴木氏は「地域を守るコアとなるのが地域の建設業」と指摘。産官学民が連携して事業を推進するため2016年11月に発足した「インフラメンテナンス国民会議」に参加する地域の中小建設業を拡大したい意向を示した。
 農水省の川村氏は、「農山漁村に元気があれば災害があっても復旧・復興が進む。一方、元気がないと荒廃する」と述べ、国土強靱化に関して農山漁村振興の重要性を強調した。
 会員からは▽保全工事での補助金に関わる膨大な書類作成が負担になっている▽高速道路会社を除き、道路の斜面のグラウンドアンカー工の点検やメンテナンスを行っていない▽設計と現場の食い違いが多い。コンサルタントにも施工者と連携すべきという声がある▽地方自治体の職員の技術力の低下は深刻な問題―などといった指摘や、これらの改善を求める意見が出た。
 これに対して鈴木氏らは▽書類削減については国交省で行っている取り組みを自治体に拡大する▽グラウンドアンカー工の対策を今後検討していく▽設計と施工の整合を、包括発注の中で検討したい▽地方自治体への技術者派遣を積極的に行う―などといった対応策を示した。
 同幹事会では、「地域のインフラメンテナンス〜第4次産業革命の胎動〜」をテーマに、第13回建設トップランナーフォーラムを6月29日、東京・千代田区のイイノホールで開くことにしている。今回の研修会はこれに向けた活動の一環。

提供:建通新聞社