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2018/02/23

建築基準制度見直しで第3次答申

 国土交通省の社会資本整備審議会は2月22日、建築基準制度の見直しを求める答申を石井啓一国土交相に提出した。既存建築ストックを有効活用するため、既存不適格の建築物の段階的・計画的な改修を認める制度の導入、小規模建築物に対する防耐火規制の合理化などを提言している。国交省は今回の答申を踏まえ、建築基準法改正案を今通常国会に提出する。
 答申は「今後の建築基準制度のあり方について」(第3次答申)としてまとめたもの。社整審の建築基準制度部会が昨年10月から検討してきた。
 答申の柱の一つが既存建築物の改修工事の増加に伴う建築基準制度の見直し。建築基準法の既存不適格に当たる建築物には、現行基準が遡及(そきゅう)適用される。これによって、例えば排煙設備の設置などで用途変更のための改修が大規模化するなどし、結果として既存ストックの活用を阻害する要因になっている。
 答申では、最終的に既存不適格の状態が解消されることを前提に、段階的・計画的な改修を認める制度の導入を提言。小規模建築物(延べ200平方b未満、3階建て以下)の用途変更を円滑化するため、主要構造部の防耐火規制を緩和したり、手続きを簡素化したりすることも求めた。
 木造建築物のうち、高さ16b・地上3階建て以下は防耐火規制の対象外にすることも要請。可燃物量が著しく多い倉庫・車庫などを除き、大規模木造建築物に関する規制を大幅に緩和する。
 一方、埼玉県三芳町で発生した倉庫火災を教訓に、大規模倉庫の所有者に防火設備の維持管理を徹底させることも要請。既存不適格建築物の所有者が予防的な観点で維持保全に取り組めるよう、特定行政庁が建築基準法に基づいて指導・助言できる仕組みの創設も求めた。
 答申ではまた、今後も継続して検討すべき課題も列挙。この中で、官民の技術者の確保・育成や生産性向上のため、建築士の業務報酬基準と関連資格制度を見直すことも提言している。

提供:建通新聞社