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2018/03/22

国交省が建設業働き方改革プログラム

 石井啓一国土交通相は3月20日、建設業への時間外労働の罰則付き上限規制の適用を見据えた「建設業働き方改革加速化プログラム」を打ち出した。長時間労働の是正、給与・社会保険、生産性向上の3分野で講じる新たな施策をパッケージ化したもの。週休2日工事の適用拡大と労務費補正、建設キャリアアップシステムの加入推進、中小建設業のICT活用を促す積算基準の改善などが柱だ。石井国交相は、建設業4団体の幹部と3月27日に会談し、「プログラムについて積極的な取り組みを要請する」と発言。建設業界側にも対応を求め、官民一体で働き方改革を強化する考えを示した。
 建設業には、5年の猶予期間を経て罰則付き時間外労働の上限規制が適用される。ただ、現状は、全産業平均を年間300時間以上上回る長時間労働となっている他、週休2日も確保されていない。上昇傾向にある技能者の賃金も製造業と比べれば依然として約5%低い。
 プログラムには、長時間労働の是正、給与・社会保険、生産性向上をキーワードに働き方改革を後押しする同省の施策を盛り込んだ。建設業界側にも積極的な対応を促し、夏までに官民の取り組みを共有する。
 長時間労働の是正に向けた施策の柱は、週休2日制を導入した場合の必要経費の確保。直轄工事では、週休2日工事の労務費と機械経費(賃料)に補正係数を導入するとともに、共通仮設費・現場管理費の補正は上乗せする。中小建設業が休日確保に取り組めるよう、4週6休相当以上で段階的に経費を支払う。
 補正の拡充により、直轄工事で先導的に週休2日工事を大幅に拡大。地方自治体の発注工事でも対象工事の拡大を求める。民間工事の適正工期の確保に向け「適正な工期設定等のためのガイドライン」を18年度早期に改定する。
 技能・経験に応じた給与を得られるよう、今秋から稼働する建設キャリアアップシステムに全ての技能労働者の加入を目指す。システムに蓄積する技能・経験を活用し、技能者の能力評価制度も構築。直轄工事では、同制度で高い技能・経験のあることが証明された技能者にインセンティブを与えることも検討する。社会保険加入をミニマム・スタンダード(最低限の基準)とするため、建設業許可要件に社会保険加入を追加する。
 生産性向上に向けては、ICT施工の積算基準を改善し、主に小規模施工の採算性を高める。中小建設業のICT活用を促すとともに、中小工事の発注が多い自治体発注工事への展開を狙う。書類の簡素化を図るため、建設業許可への電子申請の導入の他、直轄工事では総合評価方式に「簡易確認型」を原則適用する。
 重層下請け構造を改善するため、下請け次数削減方策も検討する。

提供:建通新聞社