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中央ニュース

2018/03/30

インフラ点検 自治体3割が実施困難

 国土交通省が行った社会資本の維持管理・更新に関するアンケート調査で、地方自治体の3割が今後の点検の実施が困難であると回答していたことが分かった。職員数の減少や技術力・予算不足を理由に、法定の頻度での点検実施が難しいと考える自治体が多い。国交省は、点検・診断の合理化、効率化を進め、自治体の負担軽減を図ることを検討している。
 調査は、今年1〜2月に全ての都道府県・市区町村を対象に実施し、3月28日に開いた社会資本整備審議会・交通政策審議会の社会資本メンテナンス戦略小委員会に結果を報告した。
 インフラの点検は、道路(橋梁、トンネル)で5年に1度の実施を義務付けるなど、施設ごとに一定の頻度での定期点検を求めている。
 調査結果によると、これまでも法定の頻度で点検を実施し、今後も実施できると回答した自治体は全体の59%。一方、これまでは法定の頻度で実施できたが、今後は難しいとの回答は9%、これまでも実施できず、今後も難しいとの回答は18%あった。合計で27%の自治体が今後の点検実施に不安を抱えていることになる。
 自治体からは、点検対象、点検頻度、点検方法、書類の見直しの他、点検コストの抑制を求める声が強い。国に対し、自治体管理施設も含めた一括点検の実施を求める声もあった。
 現在、社会資本メンテナンス戦略小委員会では、笹子トンネルの天井板崩落事故を契機とする現在のインフラ老朽化対策を検証し、6月に中間報告、年内に今後5年間で取り組む施策を提言する。
 国交省は29日の会合で、6月の中間報告に盛り込む緊急的な対策の方向性を提示。調査で明らかになった実態を踏まえ「点検・診断の合理化・効率化」「新技術導入のロードマップ作成」「人材や体制面の充実」「交付金・補助金の充実」などを提言に盛り込む考えだ。
 また、13年に行った将来的な社会資本の維持管理・更新費の推計を再度実施する。今後、維持管理・更新費を推計するためのガイドラインもまとめ、自治体に老朽化対策の全体像を把握するよう促す。

提供:建通新聞社