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2018/04/10

人材確保・育成の勝ち残り戦略[上]

人材確保・育成の勝ち残り戦略[上]
フクザワコーポレーション 福澤直樹代表取締役

「高品質施工をブランドに」「社員を家族と思う優しさを」

 2017年春にフクザワコーポレーション(本社・長野県、福澤直樹社長)は、グループ全体で16人の新卒者を採用した。1年経つが一人も辞めていない。同社の入社3年後離職率は3・7%という低さだ。「人材確保・育成の勝ち残り戦略」をテーマに建設業振興基金が2月に東京都内で開いた建設業経営者研修で講演した福澤社長は、高品質施工を企業ブラントとして厳しく追求する経営方針とともに、人材の会社への定着と育成に関して、経営者として社員を幸せにすることの大切さを話した。福澤直樹氏_1

 大学院を中退し、会社を継いだ時、どう経営を立て直していいか分からなかった。その頃、新卒採用の合同説明会に参加しても、自社のブースはいつもガラガラだった。やっと社員が入社しても、数年の間に半数は辞めていった。そしてその頃、「機械はお金で買えるが、人はお金で買えない。人材を得るためには会社が“モテる”ことが重要だ」ということに気が付いた。
 会社が“モテる”ためには何が必要か。それは企業が「輝くもの」「きらめくもの」を持つことだと考えた。そこで掲げた目標が、企業ブランドとしての「高品質施工」だ。規模では大企業に勝てない。しかし、施工の品質の高さでは競い合うことができる。高品質施工が企業としての強みになると確信した。
 品質を高めるため、施工管理に加え、直営の施工部隊を強化することにした。若い技能者に、品質にこだわる姿勢を徹底的に身に付けさせた。重機類を自社で保有し、オペレーターも自社で育成している。
 技能の社内検定も導入した。社内検定であっても、バックホウ操作と型枠組立の技能検定は長野県知事から認定を受けた公式な検定でありハードルは高い。知事認定を受けて10年経ったので、現在、厚生労働大臣の認定を目指して指導を受けている。
 会社の良さは数字などで分かりやすく表現できることも必要だ。総合評価方式の入札が始まる以前から、工事成績を品質の指標にし、成績アップに努力した。平均点は、記録の残る2002年度以降16年度までの16年間で、72・7点から88・2点にアップした。そして、長野県優良技術者表彰を、表彰制度の開始時から14年連続で受賞している。受賞者数は延べ32人に上り、県内トップだ。14年と16年には北陸地方整備局の直轄工事で局長表彰を会社と技術者が受賞した。16年の表彰式では自ら謝辞を述べた。10年前には想像できないことだった。
 技術力の向上には、社内研修によって取り組んでいる。若手が資料を作成し、ベテランが指導役を務める。
 これらの取り組みに対して県内外の建設業から見学の希望があり、積極的に受け入れている。見てもらうことで社員がさらに磨かれる。こちらからも見学に出向けき、知識や技術を得ている。
 高品質施工は、ブランド力の向上と社員の採用・育成に大きく役立っている。総合評価方式の普及によって売り上げも増加傾向にある。しかし、技術と経営の優位性だけではうまくいかないこともある。技術と経営の強さに、優しさが加わらないと社員を幸せにできない。社員が幸せになれなければ会社を辞めてしまうこともある。
 そこで、社員は家族だと思い、行動するようにした。そうしてから会社がうまく回るようになったと実感している。自分の子供だと思うことで、声を掛けたり、気遣ったりできるようになる。
 最近は母子家庭・父子家庭の若者が目立つようになってきた。以前は親に任せておけばよかったことも会社がフォローしなければならなくなってきた。仕事でつらかったことを聞く人が家にいない。彼らをどう導くか考えた時、母親的な女性社員の存在は重要だ。採用段階から関わり、育成活動のリーダーシップまで取ってくれる。そんな女性の存在なしに現在の会社の姿はなかった。
 誰を採用担当者にするかも問題だ。一般的に総務系の人が多いが、事務の仕事はできても、採用に向いているか分からない。学生との面接では、面接する側も観察されている。担当者が気持ちのよい対応をすると彼らにとってはその会社の全てがよく見えることもある。
 一番大切なことは、自分がしてほしいことを周囲に行うこと。目の前の社員や事業を大切にすることが一番の採用対策だと思っている。

 会社概要 設立/1935年4月、資本金/1億円 、従業員数/81人、事業内容/総合建設業・ソフトウェア開発


提供:建通新聞社