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2018/05/01

専門工事業に企業評価 夏までに大枠

 国土交通省は、建設キャリアアップシステムと連動した専門工事業の企業評価制度の検討を開始した。4月26日に開いた「専門工事企業の施工能力の見える化等に関する検討会」の初会合では、同省が夏までに大枠を固める企業評価制度の論点を提示。評価項目は、システムに登録される就業履歴・保有資格による技能者の能力評価を指標の一つとして活用する。各職種共通の評価項目として「技能労働者の人数」「社会保険加入状況」「給与制度」などを盛り込む考えも示した。
 公共工事における経営事項審査など、企業評価制度がある元請け企業と異なり、専門工事企業には職種共通の企業評価制度はない。
 一方、技能者の就業履歴や保有資格を蓄積する建設キャリアアップシステムが稼働すると、技能者の経験・技能を客観的に把握できるようになる。国交省はシステムを活用した技能者の能力評価制度を立ち上げると同時に、技能者の能力評価を指標の一つとする専門工事企業の評価制度も構築する。
 優れた技能を持つ技能者を雇用する専門工事企業が高い評価を受ける仕組みを整えることで、これらの企業の受注機会を拡大し、雇用する技能者の処遇改善へとつなげる好循環とするのが狙い。
 制度が運用されると、元請け企業は、協力会社の客観的な情報を確認でき、新たに専門工事企業を選定する際の判断材料として活用できる。専門工事企業は、自社の施工能力をアピールする材料として、元請けとの価格交渉、不良不適格業者との差別化などに活用することも想定されている。
 初会合で示した評価項目のたたき台によると、職種共通の必須項目には▽建設業許可▽建設業の営業年数▽財務状況▽技能者の人数▽工事実績▽労働基準法・安全衛生法の違反状況▽法令順守の状況▽労働災害発生状況▽労働時間▽社会保険加入状況▽給与制度(月給制、日給月給制など)▽労務管理(就業規則の有無)―の13項目がある。
 このうち、技能者の人数と社会保険加入状況には、建設キャリアアップシステムの登録情報を活用。技能者の人数で評価する内容としては、キャリアアップカードの保有人数、技能者の能力評価基準におけるレベル(4段階)の人数、その他社員数の3点を例示している。
 次回以降は、企業評価の運営主体も議題にする。現時点では、国交省が策定するガイドラインに沿って、運営主体である専門工事業団体や第三者委員会が各企業を評価する枠組みを想定している。
 評価結果は、項目単位で評価(☆の数、点数付けなど)することを想定し、総合点などによる評価は行わない。国交省は、技能者の能力評価制度とともに、2019年度に企業評価制度の運用を開始する方針だ。

提供:建通新聞社