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中央ニュース

2018/05/29

適正な工期に判断基準 注文者に勧告も

 国土交通省は、建設業法に適正な工期設定に関する受発注者の責務を設ける前提として、工期の適正性を判断する基準を設ける。中央建設業審議会が長時間労働を排除した基準を作成し、受発注者に実施を勧告する。この基準に照らし、受注者による工期ダンピング、注文者(発注者、元請け、上位下請け)による不当に短い工期設定を禁止する規定を設ける。注文者に対しては、許可行政庁による勧告権限を設け、適正な工期を設定する実効性も担保する。
 5月28日に開いた中央建設業審議会・社会資本整備審議会の基本問題小委員会に、こうした考えを示した。建設業に時間外労働の上限規制が適用されることを見据えた措置で、建設業法に受発注者双方に適正工期を設定する責務規定を設け、違法な長時間労働を前提とした工期を排除する。
 責務規定を設ける前提として、工期の適正性を判断する基準を定める。
 建設業法では、中建審が標準請負契約約款などを作成し、受発注者に実施を勧告できる条文(同法第34条)があり、この対象に工期に関する基準を追加する。建設業団体、発注者団体なども参加する中建審で意見集約し、関係者が適正な工期を設定する環境を整える。
 基準を作成した上で、基準に沿った工期を設定する責務を規定し、受注者の工期ダンピングと注文者の不当に短い工期設定を禁止する。受注者には、契約締結時に▽工事の準備期間▽工事種別ごとの着手時期▽完成時期―など工事の細目を明らかにし、工期を見積もる努力義務を課す。
 注文者には『著しく短い工期』の契約を禁止。工期の適正性を判断する際、受注者が生産性を高めて工期を短縮したり、請負代金の増額で人員を追加し、工期を短縮する特急料金≠ネどは規制の対象から除外することを検討する。受発注者の片務性を考慮し、注文者に対しては、許可行政庁が勧告できる規定も設け、実効性を確保する。

「労務費相当分は現金払い」

 建設業従事者の働き方改革、処遇改善を図るため、下請け企業が抱える資金調達の負担も軽減する。下請け代金のうち、労務費相当分については、手形ではなく、現金払いとするよう法的な規制を強める。労務費には、法定福利費の本人負担分も含まれるため、社会保険加入の許可要件化に伴う下請けの支払い負担を軽減する狙いもある。

提供:建通新聞社