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2018/06/05

災害対応空白地域 拡大の懸念

 全国建設業協会(全建、近藤晴貞会長)が各都道府県建設業協会に対して行った調査によると、会員企業が不在である「災害対応空白地域」となっている市区町村の数(2018年4月末時点)は全体の10・7%を占める187カ所で、3年前の15年11月末時点の調査時より1カ所減少、数自体に大きな変化はなかった。しかし、会員企業が1〜2社しか存在しないなど、今後、災害対応空白地域になると懸念される市区町村は、前回より18カ所多い90カ所に増えた。全建では「災害対応空白地域が広がるリスクは増大傾向にある」とみている。
 前回の調査で災害対応空白地域だった市区町村のうち13カ所が空白を解消した。一方、12カ所が新たに空白地域になった。その結果、空白地域の数は1カ所減少した。
 空白を解消した地域については、都道府県建設業協会や支部による入会勧誘活動が功を奏した。全建では「入会勧誘がなければ、空白地域は増加していた」とみている。一方、新たな空白地域の発生は、企業の合併や倒産などによるもので、その地域では建設業の数が減少しているという。
 空白地域が存在する都道府県の数は29都道府県で、前回と同数だった。滋賀県で空白地域が解消したものの、新たに徳島県で1カ所の空白地域が生まれたことによるもの。
 空白地域の数が目立つ都道府県(カッコ内は箇所数)は北海道(33)、青森(6)、秋田(5)、福島(13)、群馬(6)、東京(14)、長野(6)、愛知(28)、京都(6)、大阪(34)、沖縄(7)―など。大都市圏である東京・大阪・愛知については、空白地域は多いものの、災害対応で支障はないとみている。
 一方、今後、空白地域になることが懸念される箇所が多い都道府県は福島(15)、茨城(7)、埼玉(12)、千葉(10)、神奈川(10)、沖縄(5)―など。
 福島県は福島第一原子力発電所の事故などが影響し、現在13カ所が空白地域であるのに加え、今後15カ所が空白になると懸念されている。
 地域の防災力の維持・向上に向けた各建設業協会の取り組みを聞いたところ、国や自治体との防災協定の締結や防災訓練、連絡体制の充実をはじめ、人員・機材が不足する場合の支援体制の構築−などの回答があった。また今後の懸念材料として「現状は維持しているが、会員数・企業数とも減少している」「南海トラフ地震が発生した場合、太平洋沿岸地域の会員企業に多大な影響が出ると考えられる」といった指摘があった。

提供:建通新聞社