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2019/10/01

高力ボルト不足、沈静化へ

 国土交通省が行った調査で、高力ボルトの不足傾向が全国的に解消に向かいつつあることが明らかになった。3月時点で約8カ月に及んでいた注文から納品までの納期は、全国平均で約6カ月まで短縮。高力ボルトの需給が追いつかず、鉄筋コンクリート造の割合が増えていた着工床面積も、鉄骨造へと回帰する動きが出ている。
 2018年夏以降に表面化した高力ボルト不足は、19年3月に行われたアンケート調査で、通常約1・5カ月の納期が全国平均で約8カ月に長期化しているとの結果が出ていた。
 高力ボルトの需要側(鉄骨ファブリケーター、ゼネコン)、供給側(メーカー、商社・問屋)に7月時点の需給動向を聞いた同様の調査では、納期が全国平均で約6カ月となり、不足傾向が解消に向かっていることが分かった。調査結果を10月上旬に公表する。
 昨年夏以降、鉄骨の接合部に使用する高力ボルトが納品されない影響で、建築着工床面積に占める鉄骨造の割合が低下。鉄骨造が全体に占める割合は、2018年6月に全体の41・5%だったが、19年3月に34・0%まで低下。反対に、18年6月に14・9%だった鉄筋コンクリート造は19年3月に21・0%に増加していた。
 ただ、今年7月の建築着工床面積を見ると、鉄骨造は39・7%、鉄筋コンクリート造は16・1%と、18年6月の割合に近づいており、高力ボルトの需給が安定化に向かった影響もあるとみられる。
 国交省は、高力ボルトの需給がひっ迫する現状が、実需に結び付かない一時的な現象だとみており、今年5月に業界統一の発注様式の作成するなど、需給の安定化に向けた対策を講じていた。同省では、今後も高力ボルトの需給を注視する考えで、近く関係する業界団体を集めた実務者会合を開き、対策のフォローアップを行う方針だ。

提供:建通新聞社