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2019/10/03

適正な予定価格設定 市区町村の3割弱で未改善

 全国建設業協会(全建、近藤晴貞会長)は、2014年度改正品確法の運用指針の発注機関の運用状況に関して都道府県協会と会員企業に対して7〜8月に行ったアンケート調査の結果をまとめた。資材の実勢価格などを反映した適正な予定価格の設定では、都道府県では9割超で改善されていたが、市区町村では約3割弱が未改善のままだった。ほかの調査項目でも、一定の改善傾向は見られるものの、国土交通省や都道府県と比べ、市区町村では未改善の割合が高かった。必要な契約変更の実施に関しては、国交省の1割弱、都道府県の2割強、市区町村の4割弱が未改善で、4年前の15年度の調査結果とほとんど変化がなかった。
 14年度改正品確法の運用指針の運用状況を総括するとともに、19年6月の改正品確法によって今後作成される運用指針に提言するデータとするためアンケートを実施した。45協会と会員企業982社が回答。15年度の調査結果と比較した。
 現場の条件を反映した適切な工期設定は、国交省では8割弱、都道府県では7割強、市区町村では6割超でされていた。いずれの機関でも改善傾向が見られるものの、未改善も一定の割合で残っていた。債務負担の活用などによる平準化は、都道府県の8割弱が改善されているが、市区町村では5割強が未改善だった。
 三者会議などによる受発注者間の情報共有は、国交省の9割弱で改善されているが、都道府県では5割弱、市区町村では7割弱が未改善。ワンデーレスポンスなどによる発注者の迅速な対応は、国交省の7割超で改善されているが、都道府県では5割超、市区町村では7割弱が未改善だった。
[4割が限界工事量以下]
 改正品確法の運用指針の運用状況と併せて聞いた会員企業の受注状況では、「良い」と「良くなってきた」が計30%で、15年度調査より20㌽増加した。一方、「悪くなってきた」と「悪い」は計21%で、39㌽減った。利益については「良い」と「良くなってきた」が計34%で19㌽増加、「悪くなってきた」と「悪い」は27㌽減少し、計23%になった。
 利益が悪化しているケースでの要因(複数回答)は、「人件費の上昇」(72%)、「下請け代金の上昇」(68%)、「資材価格の上昇」(66%)が多かった。15年度の調査と比べ人件費と下請け代金の上昇を挙げる割合が増えた。
 また、地域の安全・安心を守るために必要な人員・機材を維持するために必要な事業量(限界工事量)が確保されているか聞いたところ、「十分ある」が15%、「必要最低限」が43%で、「必要な事業量を下回る」が40%を占めた。
 「必要な事業量」に関する意見では「人員が高齢化しており、今後補充する人がいない。事業量を増やして給料が上がらないと若者が入らない。地方に事業を配分してほしい」「安心・安全を守る建設業によりインセンティブのある発注にしてほしい」「限界工事量に関する官民一体の議論が必要」などといった声が上がった。

提供:建通新聞社