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2019/10/03

譲渡制限特約 民間・下請約款は選択制

 国土交通省は、改正民法の施行に伴う建設工事標準請負契約約款の改正で、工事完成前の工事代金債権の譲渡を制限する「譲渡制限特約」を引き続き設ける。民間工事の契約や下請け契約では、発注者が資金調達を目的とした債権譲渡を認める契約書を選択できるよう、約款に規定する。発注者が瑕疵(かし)・修補や損害賠償を請求できる担保期間は、一律で引き渡し後2年と設定。鉄筋コンクリート造の建築物などは現行通りだが、木造建築工事や設備工事は、担保期間を1年から2年に延ばすことになる。
 2020年4月の改正民法施行に合わせ、標準契約約款改正を議論する「中央建設業審議会建設工事標準請負契約約款改正ワーキンググループ」を10月3日に開き、約款改正の方向性を示した。
 現行の契約約款では、注文者の承諾を得ない債権譲渡を禁止しているが、改正民法は譲渡制限特約のある債権を資金調達のために譲渡することが債務不履行には当たらず、債権譲渡を理由に契約を解除するケースが権利の濫用に当たるとしている。
 国交省は、前払金や中間前払金など資金調達の手段が整っている公共工事では、公共約款に譲渡制限特約を維持し、引き続き債権譲渡を制限する方向性を提示。信託財産でる前払金の譲渡も従来通り禁止するとした。一方、民間約款(甲・乙)と下請け約款では、工事に必要な資金調達を目的とする債権譲渡を認める条文と、譲渡制限特約を規定する条文の両方を設け、発注者がいずれかの条文を選択できるようにする。
 譲渡制限特約を付けた契約の解除については、受注者が債権譲渡した場合に即解除できる規定とするか、債権を譲渡しても工事完成に支障がないことを証明できない場合に解除できるようにするか、今後検討する。
 現行の契約約款では、瑕疵の修補や損害賠償請求ができる担保期間は、木造建築工事と設備工事などを引き渡し後1年、それ以外の工事を2年と規定している。改正する契約約款では、工事の種類を問わず、原則として一律2年に見直し。住宅品確法で定める住宅の瑕疵に対する担保期間は現行の10年で変更しない。
 一方、契約約款の特則で担保期間を6カ月としている造作(階段、床板など)や備え付け家具などの瑕疵も、担保期間を1年に延長する。
 国交省は、10月下旬に開くWGの次回会合に、契約約款の改正案を示す。年内の中建審総会で改正約款を決定する。

提供:建通新聞社