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2019/10/21

「日本水準原点」を重文指定 測量分野の建造物で初

 文部科学省の文化審議会(佐藤信会長)は18日、同審議会文化財分科会の審議、議決を受けて「日本水準原点」を重要文化財に指定するよう、萩生田光一文部科学相に答申した。測量分野の建造物が国の重要文化財に指定されるのはこれが初めて。
 日本水準原点は全国の水準点の高さを定めるために設置された標高の基準。わが国の標高は、測量法と同施行令によって東京湾の平均海面を0bとして定義されており、東京湾の平均海面を計測して決められている。
 水準原点は、地震時の上下変動を最小限に抑え、水平変動を減少させるため、地下10bを超える岩盤に基礎を打ち、基礎のれんが積と地盤の間に細砂を充填(じゅうてん)。温度変化による伸縮の影響を抑えるため、基礎部分にはコンクリート、れんが、硬石を用い、基礎上部には花崗岩台石を、零位尺には甲州産の水晶板を用いて築かれている。
 日本水準原点を格納している標庫は、ドーリス式ローマ神殿形式の古典的建築で、辰野金吾、片山東熊、曾禰達蔵とともに、工部大学校造家学科(現、東京大学大学院工学系研究科建築学専攻)の第一期生であった佐立七次郎が設計した。
 標庫は、現存している佐立が設計した建築物では最古のものであり、東京都内で現存する最古の近代洋風建築であることから、東京都は1996年に都の指定有形文化財に指定している。

提供:建通新聞社