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2020/02/27

技能者の年収目標 標準見積書に反映

 国土交通省は、建設キャリアアップシステム(CCUS)を活用した「建設技能者の能力評価制度」で、専門工事業団体に技能レベルに応じた技能者の年収目標を設定してもらう。3月中に能力評価基準を定める35職種の団体が、6月までに年収目標を設定。専門工事企業がこの目標を目安とする見積もりを元請けに提出するよう促す。標準見積書にもこの目標を反映し、元請けや上位下請けに必要額を請求できる枠組みをつくる。
 能力評価制度は、CCUSに蓄積された就業履歴と保有資格で、技能者の能力をレベル1〜4の4段階で評価する。レベル分けのための能力評価基準は専門工事業団体が職種別に策定し、国土交通省の認定を受ける。
 例えば、鉄筋の能力評価基準では、就業年数7年(職長・班長として3年)の就業履歴、1級鉄筋施工技能士の資格保有でレベル3の評価を受け、シルバーのCCUSカードを取得できる。すでに13職種の基準が認定を受けている。国交省は3月末までに基準の認定を35職種に拡大し、4月から技能レベルの4段階評価を本格的に運用する方針だ。
 能力評価基準による技能者の能力レベルを専門工事企業の請負代金に反映するため、職種ごと、技能レベルごとの年収目標を定める。専門工事業団体が6月までに年収目標を設定し、会員企業に目標に基づいて見積もりを提出するよう周知する。
 この目標を請負代金に反映するため、各団体に標準見積書の改定も求める。標準見積書は社会保険加入対策の一環で各専門工事業団体が策定したもの。法定福利費を内訳として見積書に明示することで、元請けや上位下請けに適正な法定福利費を請求できる。
 この標準見積書を各団体に見直してもらい、労務費を記載する項目を追加。現場に配置する技能者の技能レベルや人数に応じた労務費を元請けに請求する枠組みを整える。
 また国交省は、能力評価制度とともに、専門工事企業の施工能力を見える化する企業評価制度の構築も進めており、3月中にガイドラインをまとめる。21年度に本格運用する企業評価制度では、施工能力があり、人材育成に力を入れる企業の評価を高める。国交省は、CCUSの登録情報を活用した二つの制度を運用し、人材の育成、技能レベルの向上、賃金の上昇という、技能者の処遇改善の好循環を定着させる考えだ。

提供:建通新聞社