国土交通省は、建設業法改正に伴う同法施行令の改正政令案をまとめた。2021年度の技術検定再編の経過措置として、20年度の学科試験の合格者に対して再編後の「第1次検定」を免除すると規定。技術検定の受験手数料は試験回数や会場数の増加に伴い、19年度に創設した電気通信を除く6職種で引き上げる。今年10月1日に施行する「著しく短い工期の禁止」の規定では、勧告の対象を請負代金額500万円以上(建築1500万円以上)と定める。
今年10月施行と21年4月施行の政令案をそれぞれまとめ、3月27日からパブリックコメントを始めた。いずれも5月に閣議決定する。政令の閣議決定後、改正法に伴う省令と告示も公布する。
改正建設業法では、「著しく短い工期」での請負契約を禁止する規定を設けており、中央建設業審議会の「工期に関する基準」に沿って「著しく短い工期」と認められた工事への勧告権限を許可行政庁に与えた。10月施行の政令案ではこの勧告の対象を請負代金額500万円以上(建築1500万円以上)と規定し、個人住宅の建設工事など小規模工事を対象から除外した。
10月施行の政令案ではこの他、監理技術者の専任義務緩和で、監理技術者が兼務できる現場を2現場と定めた他、主任技術者の配置を求めない「特定専門工事」の対象を請負金額3500万円以上の鉄筋工事と型枠工事と定めた。
改正法では、現在の学科試験と実地試験を「第1次検定」と「第2次検定」に21年度から見直すとしており、21年4月施行の政令案にはこの技術検定の再編に関連する規定を盛り込んでいる。
具体的には、「第1次検定」の合格者に与える資格を「技士補」と正式に規定。1級技術検定の受験資格も見直し、2級第2次検定合格の翌年に1級第1次検定を受験できるようにする。
学科試験に合格し、実地試験に不合格となった受験者に対し、翌年度以降の学科試験を免除する「学科試験免除」については、技術検定再編に伴う経過措置を設ける。20年度までの学科試験の合格者は、21年度以降の第1次検定を免除する。
免除期間は現在と同じで、1級は20年度の学科試験合格者に21年度の学科試験を免除。2級の免除期間は学科試験合格後11年間であるため、20年度試験だけでなく、19年度以前の学科試験合格者も経過措置の対象とし、21年度以降も免除期間内は第1次検定を免除する。
一方、技術検定の受験者数が全体として減少傾向にあり、年2回化や会場数の増加による試験機関の支出が増加していることを踏まえ、電気通信工事を除く6職種で引き上げる。この他、検定種目「建設機械施工」の名称を「建設機械施工管理」に改める。
提供;建通新聞社