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2020/08/05

スランプ値12a以上 直轄工事4割に採用

 国土交通省が直轄事業の受注者に対して行った調査(2019年9月時点)で、コンクリート打設時のスランプ値を12a以上にする「流動性を高めたコンクリート」の採用工事が、鉄筋コンクリート構造物全体の41%に上ったことが明らかになった。17年9月に行った前回調査から27ポイントの大幅な伸び。工種別に見ると、橋梁(コンクリート下部工)が採用工事の51%を占めている。
 コンクリート構造物は、耐震性能を高めるために配筋が高密度化しており、標準8aのスランプ値だと打設効率の低下や充填(じゅうてん)不足を招く恐れがある。ただ、施工者が打設効率を高めるためにスランプ値を12a以上に変更する場合、発注者の承諾を得る必要があった。
 このため、国交省は2017年度に「流動性を高めた現場打ちコンクリートの活用に関するガイドライン」を策定し、発注者の承諾がなくてもスランプ値を12a以上に変更し、コンクリートを打設できるようにした。
 同省が鉄筋コンクリート構造物の受注者に行ったアンケート調査によると、対象工事2536件の41%に当たる1029件がスランプ値を12a以上に設定。前回調査(17年9月時点)の14%から27ポイント上昇し、この2年で採用工事が大幅に増えた。工種別では「橋梁(コンクリート下部工)」が522件と全体の半数を占める。
 設計段階ではスランプ値を指定することが少なく、スランプ値を12a以上にした設計業務は318件(17%)と工事よりも割合が低い結果が出ている。
 流動性の高いコンクリートを採用した受注者からは「作業性が向上した結果、これまでより少ない人員での作業が可能になった」「コンクリートの充填性が向上して品質が改善した」といった回答が多かったという。
 同省は、流動性を高めたコンクリートとともに、現場打ちコンクリートの生産性を高める「機械式鉄筋定着工法」と「機械式鉄筋継手工法」も直轄事業に採用している。今回の調査では、これらの工法の採用状況についても回答を求めており、機械式鉄筋定着工法は全ての鉄筋コンクリート構造物の24%、機械式鉄筋継手工法は25%だった。

提供:建通新聞社