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2021/02/22

労務単価 コロナ特別措置で1・2%増

 国土交通省は、3月1日から適用する公共工事設計労務単価を発表した。全国全職種平均の単価は前年度比1・2%増の2万0409円(伸び率は単純平均、金額は加重平均)。公共事業労務費調査の結果、都道府県・職種別の単価の42%が前年度を下回ったため、市場が新型コロナウイルス感染症の影響下にあることを踏まえた特別措置を適用。マイナスになった全単価を前年度と同額に据え置く措置により、調査では0・4%増だった全国全職種平均を0・8ポイント引き上げた。
 労務単価は、前年度比15・1%増となった2013年度以降、9年連続で上昇し、12年度の単価と比べ53・5%増加した。ただ、今回は、前年度までの法定福利費相当額や有給休暇取得の義務化分の上乗せを継続し、その上で特別措置を適用したものの、伸び率はこの9年で最小となった。
 国交省は、労務費調査で公共工事の現場に従事する労働者の賃金を全国で調査し、集計結果を踏まえて労務単価を改定する。調査の結果、これまでも一部の単価が前年度を下回ることはあったが、今回は全体の42%の単価がマイナスになった。
 労務単価の調査対象である公共工事の受注は伸びているが、コロナ禍の影響で民間工事の受注が減少しており、「将来の投資に対する不安が広がり、技能者の賃金を抑制する動きがあるのではないか」(不動産・建設経済局建設市場整備課)とみている。
 全職種・全都道府県のうちマイナスとなった42%の単価は、特別措置として前年度額と同額に据え置いた。特別措置を適用した単価が多かった職種は、鉄筋工(37都道府県)や法面工(32都道府県)普通作業員(28都道府県)など。
 都道府県別では、沖縄県が平均0・4%増と伸び率が最小。北海道と東北6県の伸び率もいずれも0・6%増と沖縄県に次いで低かった。東日本大震災の被災3県には、前年度までの単価の引き上げ措置も講じているものの、上昇幅が縮小している。労働者数の多い主要な12職種では、交通誘導員Aと交通誘導員Bの2・1%増が最も伸び率が高く、鉄筋工の0・2%増が最小だった。
 新単価は3月1日以降に契約する国交省・農林水産省の直轄工事に適用する。旧単価で入札した工事に新単価を反映する特例措置は今回も適用。ただ、新単価適用後の契約額の1%までの上昇分は受注者が負担することになっている。

提供:建通新聞社