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2022/03/01

概ね3%の賃金上昇 官民で申し合わせ

 国土交通省と建設業主要4団体は2月28日、公共工事設計労務単価の上昇を踏まえた建設技能者の賃金引き上げに取り組むことを申し合わせた。2022年は「おおむね3%」の賃金上昇率を目標に掲げ、官民協働で賃上げにつながる好循環を継続させる取り組みを推進する。
 国交省と、日本建設業連合会(日建連)、全国建設業協会(全建)、全国中小建設業協会(全中建)、建設産業専門団体連合会(建専連)の4団体が意見交換し申し合わせた。斉藤鉄夫国交相は「建設業の賃上げの取り組みは道半ば。労務単価の上昇を通じて、適正な利潤の確保、さらなる賃金の引き上げにつながる好循環を継続しなければならない。全ての関係者が(目標達成に向け)可能な取り組みを進めることが必要」と呼び掛けた。
 各建設業団体も、実現にはさまざまな課題があるものの、建設技能者の賃上げに向けて、官民で取り組むことが重要との認識を示した。
 建設技能者の賃金水準は、直近6年(13〜19年)の上昇率が年平均2・7%(製造業1・2%、全産業1・1%)で推移。こうした建設業の取り組みについて、賃上げによる景気浮揚を目指す岸田文雄首相は、所信表明演説で「官民協働で賃上げに取り組む好事例」と紹介した。
 国交省は、公共工事設計労務単価の10年連続となる前年度比アップでの改定(3月1日適用)を実現。併せて、22年度から直轄土木工事での一般管理費等率の引き上げや総合評価での賃上げ加点に取り組むことも決めている。
 意見交換では、技能者の賃金引き上げに向けた、取り組みの方向性も示した。「防災・減災、国土強靱(きょうじん)化のための5か年加速化対策」などにより持続的、安定的に公共事業量を確保し、公共工事を着実に実施する。国庫債務負担行為の新たな枠組みとなる「事業加速円滑化国債」も活用し、円滑な施工を確保する。
 建設キャリアアップシステム(CCUS)などを通じた技能レベルに応じた賃金支払いの実現や、ダンピングの排除に向けた自治体への働き掛けなどにも、官民挙げて取り組むとした。
 意見交換会には、日建連の宮本洋一会長、全建の奥村太加典会長、全中建の土志田領司会長、建専連の岩田正吾会長ら4団体の幹部が出席。建設技能者の賃金水準の引き上げをはじめ、防災・減災の取り組みや働き方改革、CCUSの普及について意見を交わした。

提供:建通新聞社