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2023/08/30

材工一式の営繕積算単価 労務費分離へ

 国土交通省は、官庁営繕工事の積算基準を見直すための議論を始めた。「材工一式」となっている官庁営繕工事の積算単価について、労務費部分を分離し「見える化」する。適正な予定価格の設定につなげる。有識者や業界関係者の意見を踏まえ、今後2カ年をかけて、労務費の内訳が把握できる積算単価の設定方法や、積算基準への反映方法を固める。
 官庁営繕工事の積算単価は、大半の工種が、労務費、材料費、機械器具費、下請け経費込みの一括パッケージの材工一式により、それぞれの内訳が不明となっている。
 対象工種は、型枠や鉄筋など18工種40分類に及ぶ。官庁営繕工事では現在、物価の調査機関が調査・公表している、元請けと1次下請け間の単位施工量当たりの取引価格となる「市場単価」を積算単価として適用。各府省庁が統一的に使用する官庁営繕関係の公共建築工事標準単価積算基準(統一基準)に反映している。
 積算基準の見直しへ営繕部は、昨年度から、積算単価などの実態を把握するための調査に着手。型枠と鉄筋の2工種について、民間工事を含めた歩掛調査を実施した。本年度は直轄営繕工事を対象に歩掛調査をより深掘りする他、今後2カ年をかけコンクリートの打設工事、電気設備の配線工事(絶縁ケーブル)、機械設備のダクト工事の歩掛も調べる。
 国交省の担当者は、まず型枠について、2024年度末までに、労務費の見える化に向けた積算単価の設定方法や設定プロセス、統一基準の変更案を固めるとしている。基準の適用時期は未定。
 国交省では、持続可能な建設業に向けた制度改正を考える基本問題小委員会で、労務費を原資とした不当な価格競争を防ぐための取り組みとして「標準労務費」を提案。元下間の取引で適切に労務費を確保することで、技能者への賃金の行き渡りを目指している。官庁営繕工事での材工一式の積算単価からの労務費分離もその一環の取り組みとなる。
 積算基準の見直しへは、公共建築工事積算研究会に、学識者、業界団体、行政機関からなるワーキンググループを設置。8月23日に初会合を開いた。今後、第2回会合を本年度第4四半期に開き、積算単価の設定方法などを議論する。第3回会合の開催は24年度を予定している。

提供:建通新聞社