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2023/10/10

全国中小建設業協会 ブロック別意見交換会(1)中部

 全国中小建設業協会(全中建、土志田領司会長)と国土交通省による2023年度「全国ブロック別意見交換会」〈中部ブロック〉が9月21日、名古屋市内で開かれた。時間外労働の上限規制問題など同協会が提示した課題について、受発注者が議論。愛知県土木研究会は最低制限価格・低入札調査基準価格を95%以上に引き上げるよう、提案した。
 全中建からは、土志田会長ら6人が参加した他、中部ブロックから愛知県土木研究会(朝日啓夫会長)、愛知県舗装技術研究会(大矢伸明会長)、愛知県建築技術研究会(蜥ハ会長)の25人が出席。国交省からは、不動産経済産業局建設業課の沖本俊太朗入札制度企画指導室長の他、松居健技術開発調整官ら中部地整の6人が参加した。
 開会のあいさつに立った全中建の小野徹副会長は、団体として建設業の賃金引き上げや、週休2日の確保などの働き方改革などを国に働き掛けていることを説明。「地域の建設業としての役割を十分に果たせることができるよう、建設業の基盤を作っていくことが大事だ」と述べた。
 意見交換では、土木研究会が「適正な利潤の確保の実現」に必要な施策として、低入札調査基準価格などの引き上げを提案。朝日会長が「賃金を引き上げるためにも、現行の入札制度における最低制限価格、低入札調査基準価格の95%以上の引き上げが必要」と訴えた。また、併せて「一般管理費の引き上げ」についても改善を求めている。
 これに対して国交省は、「低入札価格の基準は、実態を積み上げたもの」と説明。その上で「本省で共有し、改めて、どういうことができるのか考えていく」との考えを示した。
 また、週休2日制工事については、土木研究会と建築技術研究会が、市町村や民間での取り組みが進んでいない現状を説明。「市町村、民間発注者への指導、働き掛け」を要請するとともに、3団体が適正や経費や請負価格、工期の確保を進めることを求めた。これに対して、国は「地方公共団体に対し、週休2日制と適正な工期設定を要請しており、民間発注者に対しても周知・注意喚起を行っている」と回答している。
 この他、土木研究会が地域課題として、熱中症対策施策の拡充、担い手確保のための労働時間の短縮などの施策、工事積算における地域の実勢価格の反映や資材単価の地域補正の導入―を要請。舗装技術研究会は、特に「資材の高騰や熱中症対策への費用などの経費が請負代金に反映されているとはいえない」として、「タイムラグなく、請負契約に反映されること」を要望した。
 価格や単価の問題について、国交省は「直轄工事では価格変動の大きなものは、調査回数を増やす努力をしている」と説明。熱中症対策への補正についても「直轄では採用している」とし、同省の取り組みを紹介した。
 この他、舗装分野では、工期短縮や、気候変動に対応できる新技術の採用などを提案している。
 建築技術研究会は、適切な予定価格の設定、スライド条項の弾力的運用、完成度の高い設計図書に基づく発注、民間発注者への適正な価格の設定や工期の確保について周知を図ること―などを要望した。
 土志田会長は意見交換後、「労働時間短縮に関わる会員の切実な意見を会議で訴えることができ、建設業界の危機感が発注者に伝わったのではと思っている」と感想。「厳しい局面を経て、建設業が新しいフェーズに入ってきた。受発注者が協力して取り組んでいくことを願っている」と述べ、議論を締めくくった。(地方建設専門紙の会/建通新聞社)