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中央ニュース

2023/11/21

現場の働き方改革 モデル事業支援し促進

 国土交通省は、建設現場での働き方改革を進めるため、モデル事業を支援する新たな取り組みを始める。モデル事業は、効率的な施工を目指すものとし、民間工事を含む受注者らから本年度中に公募する。2023年度補正予算案に事業費2億1000万円を計上した。24年4月から建設業に適用される時間外労働規制を見据えた取り組みとなる。
 事業名は「働き方改革の実現に向けた効率的な建設工事の促進事業」。工程管理がうまくなされていなかったり、元請けの事情などで下請けの実労働時間が減少しているような現場の中から、実践的な課題解決策に取り組むモデル事業を建設工事の業種別に公募・選定し、事業実施にかかる経費を支援する。
 支援対象とする事業内容は、国交省によると、例えば、円滑な工程管理を実現するためにアドバイザーの派遣を受けたり、デジタル化による工事書類の簡素化などを想定するが、詳細は今後、業界団体の意見を聞きながら詰めるとしている。
 モデル事業で得られた成果は、事例集の作成・説明会などを通じて、一般化し、横展開を図る。
 時間外労働の上限規制に向けて国交省はこれまで、直轄工事で週休2日を原則化するとともに、地方自治体・民間発注者に対しても取り組みを進めるよう働き掛けるなど、適正な工期の確保に向けた取り組みに注力してきた。
 中央建設業審議会では、休日に配慮した「工期に関する基準」を作成・勧告。さらに民間発注者に対するモニタリング調査なども実施している。
 一方で、建設業の実態は、厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、工期に関する基準の作成から2年を経過した22年度時点でも年間出勤日数が全産業より12日多い。総実労働時間も年間で68時間ほど長く、週休2日の確保が技術者、技能者ともに進んでいない。
 長時間労働の是正が進んだとは言えず、残業時間の上限規制適用への備えに不安を残している。建設現場の働き方改革が急がれる。

提供:建通新聞社