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2023/12/06

設備投資「見送る」 建設業の3分の1で

 日本商工会議所の11月の調査によると、建設業で設備投資を「見送る」意向の企業は33・6%で、全産業平均よりも3・7ポイント高かった。コロナ禍からの経済活動の回復に伴い、全産業的に設備投資には前向きなものの、原材料やエネルギー価格の高騰から実施に踏み切れない構図だ。
 建設業の設備投資動向は「行う」が33・9%、「見送る」が33・6%と判断が割れた。業種別では、小売業に次いで設備投資を見送るという回答が大きな割合を占めた。
 全産業では、設備投資を「行う」が41・6%、「見送る」が29・9%。従業員10人未満の企業では「見送る」の割合が43・9%となるなど、規模の小さな企業ほど設備投資を足踏みしていることも分かった。また、価格転嫁を実施できた企業では、設備投資を拡大する傾向も見られた。
 建設業の業況についても調査。技術者の深刻な人手不足や資材・エネルギー価格の高騰が続くものの、受注の堅調な公共工事が下支えし、改善携行にあるとした。
 調査した企業からは、足元の売上が改善している一方で「建設資材は輸入品が多いため、円安の伸長により負担するコストが増加しており、採算は悪化している」(大工工事業)といった声が聞かれた。また、時間外労働の罰則付き上限規制の適用を控え、週休2日制を導入したものの「工期の長期化が見込まれるため、顧客への理解促進が課題」(一般工事業)という意見もあった。
 地域別に見ると、東北地方では公共工事の受注が足元で増加傾向にあり、建材関係を中心に売上・採算が改善した。関東地方では資材価格の高騰により住宅工事の受注が減少。関西地方は、万博関連の公共工事が下支えした他、民間工事の受注も増加傾向にある。中国地方は7月の大雨災害の復旧など、公共工事が増加傾向にあるものの、資材価格の高止まりや人手不足といった経営課題を指摘する声もあった。四国地方では、民間工事の受注が増加した一方、公共工事は上半期の前倒し発注が一段落し、受注が落ち着いたとした。
 調査は、全国の商工会議所の会員2474企業を対象に11月14〜20日に実施。建設業の有効回答は309企業だった。

提供:建通新聞社