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2023/12/20

インフラ個別計画 13分野で策定未了あり

 国土交通省がまとめたインフラ長寿命化に関する取り組み状況のフォローアップ結果によると、各施設管理者に策定を義務付けている「個別施設計画」については、2022年度末現在で、全33施設分野のうち、砂防や官庁営繕など20施設分野で対象施設全ての策定が完了した。一方で、道路や海岸など13施設分野で策定未了施設が残っていた。また、点検・修繕の実施状況をみると、都道府県・市区町村で修繕未着手の施設が多く残っていることも分かった。
 個別施設計画の策定率が100%未満となった13施設分野のうち、道路関係では「橋梁」「トンネル」「大型構造物」の3施設分野で策定未了施設が残っていた。
 策定率は橋梁が99・7%、トンネルが99・6%、大型構造物が98・7%だった。施設管理者によって直近の点検結果が良好で修繕の必要がなかったり、予算不足だったりといった理由で、策定が遅れたようだ。未策定の団体に対しては、道路メンテナンス事業補助制度で計画策定を補助要件としていることを改めて周知し、いずれも23年度中の策定を促すとしている。
 河川・ダム関係は、ダムの策定率が100%となったものの、河川(主要な河川構造物)の1施設分野が98・7%と100%を割り込んだ。策定が遅れた理由では、「新たに完成した施設があり、現在策定中のため」といった意見が見られた。
 港湾関係は、「係留施設」で99・6%、「外郭施設」で99・1%、「臨港交通施設」で99・6%、「荷捌き施設などその他施設」で99・2%と4施設分野で100%未満となった。一部の自治体で計画策定に必要な予算や人材の確保ができず策定が進まなかったことを踏まえ、技術・費用面の支援制度があることを改めて周知していく。
 残る海岸、空港、住宅関係の5施設分野でも未策定の管理者に対する支援・周知を再度徹底。早期の計画策定を促す。
 また、今回のフォローアップ結果では、点検・修繕の実施状況について、「各施設分野で点検がおおむね順調に進捗している」と一定評価。一方で、「多くのインフラを管理する都道府県・市区町村では、修繕に未着手の施設がいまだに多く残っている。予防保全型メンテナンスへの本格転換に向けて早期に措置が行われるよう支援を行う必要がある」とした。
 例えば、都道府県や市町村が管理している海岸関係の水門や樋門・陸閘・排水機場施設では、7割以上の施設で点検が完了しているにもかかわらず、修繕未了施設が9割を超えた。
 個別施設計画は、各管理者が点検結果を踏まえ、施設ごとの修繕対応方針を示すもの。個別施設計画に基づく「点検」「診断」「修繕」「更新」「情報の記録・活用」といったメンテナンスサイクルの構築を促し、地方自治体への技術的・財政的支援を実施してきた。
 国交省では、21年6月に「第2次インフラ長寿命化計画」を策定。個別施設計画の充実化、新たな知見の基準類への反映などを自治体に促しつつ、25年度末を計画期限として、点検結果を受けた修繕対策の一層の進捗を図ることとしている。

提供:建通新聞社