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2024/01/09

新建設業元年℃搗ア可能な建設業 在るべき姿を具体化へ

 建設業への時間外労働上限規制適用まで3カ月を切ったが、建設現場の働き方改革への対応は十分に進んでいると言えるだろうか。国土交通省は、中央建設業審議会(中建審)=写真=などで受注者、民間発注者、有識者を交え2年をかけて議論し、2023年夏に持続可能な建設業の在るべき姿を提言した。具体的には「請負契約の透明化による適切なリスク分担」「適切な労務費の確保と賃金行き渡りの担保」「魅力ある就労環境を実現する働き方改革と生産性向上」の3本柱を実現し、景気によって過度な競い合いに陥りがちな体質からの脱却を目指すとした。
 国交省は「持続可能な建設業の在るべき姿」を具体化するために必要な法制度を24年に整えるといい、法制化の検討を急ぐ。建設業法改正などを視野に、間もなく始まる通常国会に関連法案を提出する。
 
<標準的な労務費で賃金を担保>

 3本柱に基づく取り組みの中で、適切な労務費の確保と賃金行き渡りの担保に位置付けられる「標準労務費」への関心が高い。
 建設投資が目減りした「冬の時代」には、受注競争が激化し、労務費を削るダンピング受注が横行。そのしわ寄せは技能者の賃金に及んだ。現在、資材価格や人件費の高騰により、特に民間工事では必要な工事費が圧迫され、その調整のために労務費が削られるのではないかという懸念が再び広がっている。
 標準労務費は、単位施工量当たりの標準的な労務費として、請負契約での労務費の相場観を示すもの。工種・歩掛ごとの「標準的な規格(仕様・条件)」を特定した上で、公共工事設計労務単価にその歩掛を掛け合わせて算出する。中建審が作成・勧告することで、労務費を原資とする廉売行為を制限し、公正な競争の促進、技能者への賃金の行き渡りにつなげる取り組みだ。
 
<廉売規制の参考指標にも>
 
 具体的には、標準労務費を参考指標とし、その水準を著しく下回る積算での契約を制限=イメージ図。元請けから1・2次下請けへの請負契約において、受注者による不当に低い請負代金での契約締結を禁止し、指導・勧告など行政による取り締まりの対象としていくことを法的に位置付ける。
 このため、国交省は23年末に成立した補正予算で標準労務費を設定するための調査費を計上。23年度中に調査業務の外注手続きを進め、1000種類を超える歩掛を整理する。調査で得たデータは、標準労務費を固めるために今後設置するワーキンググループでの基礎資料にするという。
 ※3本柱に基づき法制化を目指す主な取り組みは表参照。

<担い手不足は日本全体で深刻化>
 
 厚生労働省の将来推計人口によると、労働の中核的な担い手となる国内の生産年齢人口(15〜64歳)は、20年の7509万人に対し、50年後の70年には4535万人まで減少すると見込まれる。
 15歳以上の労働力人口も社会全体で減るため、人材獲得競争が激化し、他産業並みの処遇を実現しても担い手は減っていくことが見込まれている。
 建設業を若者が入りたくなるような魅力ある産業へ―。今の時代にそぐわない商習慣は改めていかなければならない。働き方改革への対応などを迫られる24年は、新建設業元年≠ニなりそうだ。

提供:建通新聞社