トップページお知らせ >中央ニュース

お知らせ

中央ニュース

2024/02/02

下請け取引調査 賃上げした≠ェ5・4ポイント増

 国土交通省が実施した2023年度下請取引等実態調査によると、「技能労働者の賃金水準を引き上げた(予定含む)」と回答した元請け・下請け業者の割合が、22年度より5・4ポイント増えた。賃上げの理由は、「引き上げなければ必要な労働者を確保できないため」が最多を占めた。賃金水準の上昇と人手不足の影響がうかがえる結果となった。
 技能労働者の賃金水準については、「引き上げた」と回答した業者が全体の89・6%を占めた。前年度は84・2%だった。これを階層別に見ると、元請けでは89・2%(前年度84・7%)、1次下請けで90・8%(85・5%)、2次下請けで87・1%(77・2%)、3次下請け以降で86・3%(65・2%)となり、中でも、3次下請け以降が21・1ポイント増と最も伸びた。
 賃上げの理由に「周りの実勢価格が上がっており、引き上げなければ必要な労働者を確保できないため」を挙げたのは全体の55・9%。前年度の調査でも多数を占めたものの、今回2番目に多かった「若者の入職促進など業界全体の発展に必要と考えたため」(43・1%)と、3番目の「技能者労働者の処遇を改善する必要あると考えたため」(36・7%)の二つの回答とほぼ同数で、突出はしていなかった。
 実態調査ではこの他、元請けから下請けへのしわ寄せ状況も確認。「不当なしわ寄せを受けたことがある」と回答した下請けが前年度調査より0・2ポイント増え1・6%となった。しわ寄せの内容は、「指値による契約」が15・9%で最多を占めた。以下、「追加・変更契約の締結を拒否」が14・0%、「見積もりを全く考慮されなかった」「工事着手後に契約」、「下請け代金の不払い」がそれぞれ11・5%、「下請け代金の支払保留」が10・8%、で続いた。
 発注者から元請けへのしわ寄せでは、「発注者側の設計・積算ミス」や「追加・変更契約の締結を拒否」「発注者による理不尽な要求・地位の不当利用」が多かった。
 約束手形の現金化までの期間短縮については、「60日以内としている」許可業者が77・9%に上った。中小企業庁では、60日以内とする手形期間の短縮と合わせて、26年の約束手形の利用廃止に向けた取り組みを強めている。
 下請取引等実態調査は、元請け・下請け間の取引の適正化を目的に毎年実施しており、今回は許可業者9251者が回答した。不適正な取引を確認した許可業者7043社にはすでに指導票を送り、是正措置を求めた。

提供:建通新聞社