国土交通省は、建設業の一人親方を対象としたウェブアンケートを実施している。社会保険の加入状況や現場の労働条件、希望する就業形態などの実態を把握し、規制逃れを目的とした偽装一人親方化の防止をはじめ、適正な働き方を促す施策を考える上での基礎資料として活用する。
アンケートはウェブ上で実施し、12月20日まで受け付ける。対象は、従業員を雇用していない個人事業主を想定している。「建設キャリアアップシステム(CCUS)処遇改善推進協議会」の参加団体から会員企業にアンケートの実施を周知し、一人親方自身に回答してもらう。CCUSの機能を活用し、技能者として登録している一人親方にメールを送って回答を依頼する。
質問項目は▽回答者の経験年数や資格、直近の完成工事高▽社会保険の加入状況、CCUS登録の有無▽現場の労働環境、条件、見積書・書面契約の有無▽一人親方になった経緯、メリット・デメリット▽希望する就業形態▽事業承継や廃業の時期など、事業の今後▽一人親方に関する国の政策の認知度―となっている。同様のアンケートは、2023年度に初めて実施しており、今回で2回目となる。
国交省は6月に開いたCCUS処遇改善推進協議会で、厚生労働省、受発注者団体と過度な重層下請け構造の是正や、技能者の処遇改善に向けた一人親方対策を講じることを申し合わせた。合わせて、国交省が一人親方の実態把握を行い、適切に業界へ結果をフィードバックすることで働き方を改善するとの方向性を示していた。
申し合わせでは特に、時間外労働の罰則付き上限規制の建設業への適用が始まったことを受け、残業規制を逃れるために一人親方が増加することを警戒。また、一人親方が改正建設業法の価格交渉ルールに基づいて適正な報酬を受け取れるようにすることや、事業者による雇用維持・社員化に必要な法定福利費の支払い徹底などにも取り組む考えだ。
今回のアンケートは、一連の申し合わせ事項を踏まえたものとなる。一人親方の実態を把握するだけでなく、国交省の取り組みがどこまで浸透しているかも調べる。
提供:建通新聞社