トップページお知らせ >中央ニュース

お知らせ

中央ニュース

2025/07/15

当初と最終で見積書比較 下請けの3割で「労務費減」

 国土交通省が2024年度に行った下請け取引等実態調査で、元請けに提出した当初見積もりと比べ、最終見積もりに記載した労務費が「1〜2割減額」と回答した下請けが全体の30・4%を占めた。見積書に基づく労務費確保は、改正建設業法に基づく技能者の処遇改善策の基礎となる。調査結果を端緒に、建設Gメンが不適正な取り引き実態のある許可業者を指導する。
 調査では建設業の下請け取引の実態を把握し、不適正な取り引きには是正措置を講じるよう指導する。24年度は建設業法の改正に合わせ、調査対象を3万事業者とし、従前の2倍以上に拡大した。必要に応じて深掘り調査を行い、地方整備局の建設Gメンに活動の端緒情報として提供した。
 当初・最終見積もりの比較は、12月に予定している改正建設業法の全面施行を見据えたもの。改正法では労務費の基準を定め、著しく下回るような見積もり・見積もり依頼を禁止する。建設業者には労務費や材料費、法定福利費などの必要経費を内訳明示した見積書の作成を努力義務化。建設Gメンによる見積書の確認を通じて取引の適正性を担保する。
 今回の調査で、元請けに対して労務費を内訳明示した見積書を「交付している」「おおむね交付している」と回答した下請けは70・3%だった。
 元請けと価格変更協議をして「認められた」と回答した下請けは87・0%あり、協議の効果が確認された。ただ、そもそも元請けに価格変更協議を行ったことがある下請けは49・8%と約半数にとどまり、変更協議の実施を一層、促進する必要性が示された。
 発注者と元請けの間の取引状況についても調査した。請負代金の価格交渉で、発注者から一方的に請負代金額や単価を設定されたことが「ある」と回答した元請けは13・9%で、発注者が指値を行っている実態が分かった。
 発注者との価格変更協議で、協議を拒否されたことが「ある」と回答した元請けは9・3%、協議を申し出たことはないとの回答が21・0%だった。この結果を踏まえて国交省は、見積もり段階で価格変更の「おそれ情報」を建設業者が事前通知し、高騰時に変更協議を行う「価格転嫁の円滑化ルール」のさらなる徹底を促していく。
 元下間の工期設定状況に関する調査では、工期の見積書を元請けに交付している下請けは52・4%となった。元請けの設定工期について「適当」と回答した下請けは87・0%だった。工期変更が協議で認められたとした下請けは87・2%だった。
 一方、発注者の設定した工期について「適当」と回答したのは80・6%となり、元下間よりも少なかった。「比較的短い」「かなり短い」と回答した元請けも11・7%あった。

提供:建通新聞社