国土交通省が建設業者に対し、雇用する技能者の賃金水準について聞いたところ、直近1年以内で「引き上げた」(予定含む)と回答した割合は89・2%となり、9割弱が賃上げに取り組んでいることが分かった。一方、受注者としての立場から、人件費上昇を理由に発注者や元請けとの請負契約額を変更できたか聞くと、「公共工事・民間工事ともに変わらない」との回答が25・0%あり、価格転嫁が一部で進んでいない実態が分かった。
直接雇用している技能者の賃上げについては、基本給や毎月の手当など「毎月の給与を引き上げた」が60・5%で最多。ボーナス・一時金といった「不定期の給与を引き上げた」は12・6%、毎月と不定期の「いずれも引き上げた」が15・3%だった。「引き上げる予定はない」は10・6%と一部にとどまった。
人件費上昇分の転嫁状況を見ると、受注者の立場から「公共工事・民間工事ともに増額した」との回答は35・2%、「民間工事のみ増額」が13・2%、「公共工事のみ増額」が9・0%となった。「変わらない」は25・0%。
元請けの立場から下請けへの発注額の変化について聞くと、人件費上昇を理由に「公共工事・民間工事とも増額させた」は38・1%となった。「民間工事のみ増額」は14・0%、「公共工事のみ増額」は6・6%となった。
賃金を引き上げた理由としては、実勢価格の上昇を受け、必要な技能者を確保するためとの回答が53・8%と過半数を占めた。若者の入職促進、業界全体の発展に必要だとの声も35・9%、技能と経験に応じた給与の引き上げ、処遇改善の必要性を挙げる声も35・2%あった
賃金水準の設定に当たり、公共工事設計労務単価を「そのまま使用している」との回答が21・6%、「単価の動向を賃金に反映させている」との回答が43・3%あった。
提供:建通新聞社