国土交通省は、土木分野の情報システムの開発・運用に関する民間の技術者資格を公募する。インフラデータを管理するためのシステム開発・運用業務を発注する際、資格保有者の配置を入札参加要件などとする。このため、公共工事の調査・設計での民間資格活用に関する規程を改正する告示案をまとめた。告示を公布・施行する10月上旬以降、新たな規程に基づき、資格を付与する団体に応募を求める。
この制度は、公共工事の「計画・調査・設計」やインフラの「維持管理」といった区分を設け、活用できる民間資格を公募・登録するもの。国交省直轄業務だけでなく、他省庁や自治体にも公共事業の発注での活用を促している。業務成果の品質向上、技術者の活躍機会の確保につなげる。
今回の改正では、計画・調査・設計と維持管理の双方を対象とした「横断型業務」を拡充し、新たに「建設情報システム整備・管理」に関する民間資格を登録できるようにする。土木分野で利用する情報システムの企画や開発、運用・保守を確実に履行するための知識・技術を証明できる資格を登録する。資格保有者は、業務の管理・統括を担う管理技術者を想定している。
土木分野では近年、国交省の国土交通データプラットフォームや道路関係のデータを集約した「xRoad」(クロスロード)、河川関係の「流域ビジネスインテリジェンス」など、インフラの整備・管理に関わるデータ基盤の高度化が進展。国交省の出先事務所が連携するシステムの開発や既存のシステムの改良、運用管理を外部委託するニーズも高まっているという。
社会資本整備審議会の技術者資格制度小委委員会では、こうした実態を踏まえ、現行の技術者資格登録規程ではカバーできていないシステム整備・管理への対応を求めていた。
規程の改正後、要件を満たす資格を公募する。資格の運営団体が申請し、国交省による適合確認を経て登録資格を公示する。公共発注者が関連する業務を発注する際に入札参加要件として登録資格を設定したり、登録資格の保持者を優位に評価することを想定している。
同制度における民間資格の登録状況(2月時点)を見ると、維持管理分野(点検・診断等業務)は299資格、計画・調査・設計業務は101資格。23年度に追加された横断型業務は、データ管理を担うBIM/CIM管理技士と、UAV測量を対象としたドローン測量管理士の2資格となっている。
提供:建通新聞社