国土交通省は10月1日、新技術情報提供システム(NETIS)に、登録された技術をAIで比較検討する新機能を実装し、運用を開始した。直轄工事では新技術の活用、設計業務では比較検討がそれぞれ原則化されており、AIを活用することで複数技術の抽出と比較検討を効率化する。NETISにAIを導入するのは初めてで、今後さらなる機能強化を進める。
新技術の概要説明ページに、AIを活用した類似技術比較表の作成ボタンを設けた。NETISに掲載されている申請情報の文書データをAIを利用して評価し、類似した技術9件との比較表を表示できる。
これまで工事の発注者や建設業者、建設コンサルタントが採用する新技術を決める際、必要な分野の技術の抽出や比較検討を手作業で行う必要があった。一定の知見や経験が必要となるため、数時間〜数日かかることもあり、担当者の負担となっていた。
AIの実装により、ワンクリックで経済性や品質・出来形、施工性などの比較表を作成できるようにした。受注者の作業負担を軽減し、新技術の活用を促進する。
NETISに登録された新技術は約3800件あり、年間約2万数千件の工事・業務で活用されている。だが、5件以上活用された実績のある新技術は約900件と一部に偏っている。新技術活用へのニーズはあるものの、最適な技術を探す手間もあって、一部の汎用的な技術に活用例が集中しているのが現状だ。
国交省は、NETISに登録されたものの、現場での適用実績に乏しい技術も、AIを活用した技術比較表に掲載されることで活用の機会の掘り起こしにつながると見ている。新技術活用が原則化している直轄工事だけでなく、自治体発注工事を含めて新技術を試行するハードルを下げ、建設業界の生産性向上を目指す。
今回、利用したAIサービスはAzureOpenAI。今後は新技術の検索など、より幅広い場面でAI活用を検討・実装していく。
提供:建通新聞社