2025/10/28
全国建設業協会地域懇談会・ブロック会議(1) 関東甲信越
全国建設業協会(全建、今井雅則会長)の都道府県協会と国土交通省幹部が意見交換する2025年度地域懇談会・地方ブロック会議が、10月8日の関東甲信越ブロックからスタートした=写真。10都県の協会長らが都内に集まり、公共事業予算の拡充、第3次担い手3法の徹底などを求めた。今夏の記録的な気温上昇も踏まえ、時間外労働の上限規制を緩和することも要望した。
会議の冒頭、関東甲信越地方建設業協会の木下修副会長が、欠席した青柳剛会長のあいさつを代読。「建設業の課題は、人材確保・育成、生産性向上、災害対応組織力の強化の3点に加え、働き方の問題がある」として、ブロック会議の成果を各協会の活動に生かすよう求めた。
全建の今井雅則会長は、地域の守り手として災害復旧作業に当たっている会員企業に敬意を示し、「地域建設業がその役割を果たし続けるためには、地域ごとの安定的・継続的な事業量の確保が不可欠」と強調した。
来賓として出席した国交省の楠田幹人不動産・建設経済局長は「12月の改正建設業法の全面施行に向け、労務費の基準の検討が大詰めを迎えている。国交省としても、これらのルールが新たな商慣習として全国に根付き、技能者の処遇改善が図られるよう取り組む」との考えを示した。小林賢太郎大臣官房技術審議官は「建設業を若者から選ばれる産業とするため、他産業と遜色ない労働環境、働き方の実現を目指すべきだ」と述べた。
関東地方整備局の橋本雅道局長は、「建設業の担い手不足は深刻化している。働き方改革や生産性向上といった対応が一層重要になっており、そのためにも必要な事業量を確保しなければならない」とあいさつした。
意見交換では、神奈川県建設業協会が第1次国土強靱化実施中期計画を着実に推進するため、25年度補正予算に2兆円を上回る公共事業予算を措置するよう要望。建設コストの高騰に対し、事業量が実質的に増加するよう、26年度当初予算の拡充も求めた。
群馬県建設業協会は、今夏の気温上昇を受け、現場の働き方を見直すよう訴えた。気象条件に働き方を左右される建設業には「臨機応変な働き方が常に求められる」と指摘。運送業の時間外労働の上限規制が高く設定されていることを例に挙げ、「年720時間」「月45時間(連続6カ月まで)」とされている上限規制の緩和を求めた。
長野県建設業協会は、熱中症対策に対応した積算基準の見直しを要望。熱中症対策費が増加しているとして、現場管理費の補正係数導入や積み上げ計上費の引き上げ、施工歩掛りの見直しなどを要望した。
山梨県建設業協会はBIM/CIMなどの技術習得に対する支援、千葉県建設業協会は最低制限価格の算定基準の引き上げ、茨城県建設業協会は建設業従事者の適正な賃金確保を要望。埼玉県建設業協会は、第3次担い手3法を全ての公共発注者に周知・徹底するよう、国交省に指導を求めた。
(地方建設専門紙の会・建通新聞社)