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2025/11/05

「著しく低い労務費」に指示処分 改正建設業法の処分基準案

 国土交通省は、改正建設業法で新たに整備された規定に違反した場合の監督処分基準案をまとめた。原価に満たない代金での請負契約や、著しく短い工期の設定、著しく低い労務費や材料費による見積もり・見積もり依頼といった法違反に対し、拘束力のある「指示処分」を科すこととした。改正建設業法が全面施行される12月12日以降、新たな基準に基づいて監督処分を行う。
 指示処分を受けると、社内研修や改善計画の提出といった対応が求められる。合わせて社名も公表され、発注者によっては規定に基づき指名停止などの措置も取られる。
 罰則のない行政指導と異なり、指示処分は拘束力を伴うより厳しい対応と言える。指示処分に従わなかったり、類似の法違反を繰り返した場合は、営業停止処分を科されることもある。
 監督処分基準は、大臣許可業者に対して監督処分を行う際の統一的な考え方を示すもの。基準の改正案に対する意見を12月1日まで求める。その後、新たな処分基準を通知し、各都道府県でも処分基準を改正する。
 改正建設業法に基づき、中央建設業審議会は12月に「労務費の基準」を作成、勧告する。一方、建設業者には労務費や材料費などを内訳明示した材料費等記載見積書を作成する努力義務を規定。このとき、労務費の基準を著しく下回るような労務費による見積書の作成、注文者からの変更依頼を禁止しており、違反した場合は監督処分基準の改正案に基づき指示処分とする。
 見た目上、労務費を確保していても他の経費にしわ寄せが及ぶことのないように設けた「総価での原価割れ契約の禁止」についても、違反した場合は同様に指示処分とする。
 2019年の建設業法改正で追加された「著しく短い工期」の禁止についても、処分基準を見直す。現行では必要に応じて勧告し、従わない場合に指示処分を行うような段階的な対処となっていたが、時間外労働の罰則付き上限規制が建設業にも適用されたことなどを踏まえ、勧告を経ずに指示処分を行えるよう基準を強化する。

提供:建通新聞社